刑事手続きの流れ~刑事事件の発生から処分決定まで
- 2024年7月16日
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- 10分でわかる刑事手続き
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刑事手続きの流れ(1)事件発生から逮捕まで
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※ご相談の内容は弁護士法の守秘義務に基づき、決して口外されません
刑事手続きの始まりは事件の発生から!
刑事事件のはじまりは、まず“事件の発生”です。居酒屋でのケンカとか、街中での交通事故とかいった実際に事件が起こってから始まるわけですが、正確には警察などが事件を認知してからの話になります。警察が事件を認知するというのは、具体的には110番で一般市民から事件発生の通報を受けた場合が多いでしょう。
他にも事件の被害者が、直接最寄の交番や警察署へ被害届を出したりするケースや、警官がパトロール中に、偶然事件に遭遇するというパターンもあります。
被疑者が判っていれば即逮捕!被疑者不明なら捜査が始まる!
事件を認知すると警察は事件を犯した被疑者(一般的には「容疑者」といわれるが、これはマスコミ用語)を逮捕しようと動き出すわけです。交通事故で事故を起こした被疑者が現場にいたり、110番で駆けつけたときには、まだケンカの真っ最中だったりと、被疑者本人がすぐに特定できて身柄確保出来るときには「現行犯逮捕」といって、逮捕状なしですぐに被疑者の身柄は確保されます。
一方、空き巣とか詐欺といった、被害者が被害を訴え出たときに、まだ被疑者の特定ができない場合は、警察はTVドラマのように捜査して被疑者を探し出すわけです。そして被疑者がわかったら、警察は裁判所に対して逮捕状を請求し、裁判所がこれを認めて逮捕状が正式に発行されれば、警察はそれを持って被疑者を逮捕します。
家族が逮捕されてしまったら、一刻も早く弁護士に相談しましょう。日本では起訴されてしまうと、99.9%が有罪になるというデータもあります。
逮捕後72時間で面会できるのは、弁護士だけです。大切な方が逮捕された場合、すぐにお近くの弁護士へご相談ください。
刑事事件で逮捕された後の被疑者はどうなる?
事件発生から被疑者逮捕までの流れというのは、よく刑事ドラマでやっています。現実はあそこまでドラマチックではありませんが、刑事事件が認知されると、警察が被疑者を特定して逮捕するという流れはドラマ通りです。ただドラマは被疑者が逮捕された時点で一件落着となるわけですが、本当の刑事手続きは逮捕された後から始まります。
まずは警察署へ連行される!
逮捕によって身柄を確保された被疑者は、事件を所轄する警察署へと連行されるわけです。事件が発生したのが被疑者の住んでいる近所であれば、連行されるのは近所の警察署になります。
しかし被疑者が遠くへ逃亡していたり、広域事件で被疑者の居住地域が、捜査している地域と離れている場合、被疑者は実際に捜査をした警察署まで、飛行機や新幹線を使って連行されるわけです。
近年ネット犯罪が増加したことによって、刑事事件の加害者と被害者が近所に住んでいないケースも増えてきており、逮捕した被疑者を連行するだけで結構な交通費がかかったりします。
警察署で強制されるのは、写真撮影と指紋採取!
被疑者が事件を所轄する警察署に連行されると、写真撮影と指紋採取が行われます。この写真撮影と指紋採取は逮捕という刑事手続きとセットになっているモノで、被疑者に拒否する権利はありません。
写真撮影は正面と真横、そして左斜め前からの3種類が撮られます。
指紋採取に関しては、その昔は黒インクを手につけて紙に押して取っていました。ですから被疑者の両手は真っ黒けになってしまいったわけですが、現在はスキャナで直接デジタルデータとして指紋を取るようになったので、手が汚れない上に簡単に済むようになっています。
ちなみに指紋は指一本一本を取るわけではなく、両手の掌の指紋(「掌紋(しょうもん)」)のほか、小指側の横の部分「側掌紋」も採取されるようです。
この時に採られたデータは、警察の捜査資料として、おそらく一生残ると思われます。ただこうした個人データの採集で、逮捕とセットになっているのは、写真撮影と指紋採取だけです。警察は多くの場合、優しい声で、「DNAも採らせてくれない?」と言ってきます。
刑事手続きでのDNAの採取は基本的に任意提出です。
事件捜査でどうしてもDNA情報が必要であれば、裁判所から「身体捜査令状」と「鑑定処分許可状」という別の礼状を発行してもらわなければ被疑者から強制的にDNAを採ることは出来ません。
痴漢冤罪などで、DNAが自分の無罪を証明するような場合であれば、積極的にDNA採取に協力した方がいいのですが、逮捕状でDNA情報の提供は強制ではないという事は知っておいた方がいいでしょう。
刑事手続きの流れ(2)警察の取調べ
警察署に連行された刑事事件の被疑者は取調べを受ける!
逮捕されて警察署に連行された被疑者は、警察の捜査官から取調べを受けます。「取調室」と呼ばれるTVの刑事ドラマでお馴染みの狭苦しい部屋で、被疑者は事件について捜査官から様々な質問をされるわけです。
取調室は警察署内に何ヶ所か設けられている専用の部屋ですが、TVドラマに出てくるような部屋ばかりではありません。狭苦しいのは全体的に共通していますが、マジックミラーがない部屋もあります。
近年は取調べ室内で不適正な手段(要は暴力)が使われないよう、取調べ中は部屋のドアを開けておくのが規則になっているようです。刑事ドラマなどでは必ず二人以上の捜査官が立ち会って、取調べを行うのがパターンですが、実際は主任級の捜査官一人で取調べを行うケースもあります。その時補佐役の捜査官は部屋の外で待機しているようですが、何人の捜査官を取調室に入れて取調べを行うかは、現場の判断に任されているようです。
刑事手続きの取調べ結果は供述調書になる!
事件の容疑を認めている場合でも否認している場合でも必ず取調べは行われ、検察へ事件を送検するために必要な書類が作られるわけです。この時取調べを元に「調書」という書類が作られます。逮捕された直後に作られる2種類の調書です。
- 弁解録取書(通称:ベンロク)
- 身上経歴調書
弁解録取書
弁解録取書は、事件の「容疑に対する被疑者のいいわけ」のようなモノになります。実際に逮捕容疑を認めている場合は、「こんな罪を犯してしまいました。すいませんでした」という内容になります。
一方、容疑を否認しているケースだと「全く見に覚えはありません。私はそんなことしていません」という内容になるわけです。
身上経歴調書
身上経歴調書は、被疑者自身の出身地や職歴などを説明した履歴書のような内容の調書になります。警察で作られるこれらの調書の正式名は「司法警察員面前調書(通称:員面調書)」と言いますが、一般には「供述調書」と呼ばれています。
供述調書は基本的に、被疑者が一人称で語った供述を、捜査官が聞き取って文章にしたといった文体です。他にも捜査官と被疑者が問答形式で書かれる文体もあります。
ちなみに刑事手続き上、取調べにしても供述調書にしても、被疑者は警察に協力しなければならない…ということは一切ありません。取調べに対して、何も語らない「黙秘権」は憲法で保障された被疑者の権利です。また供述調書は最後に被疑者が内容を確認して、署名&押印することになっていますが、署名&押印を拒否しても全く問題はありません。
逮捕容疑を認めてしまっている場合、黙秘権や調書への署名&押印拒否は、無駄に罪を重くするだけの話ですが、無罪で捕ったのであれば、有効な抵抗手段になります。
警察は逮捕してから48時間以内に送検しなければならない!
弁解録取書や身上経歴書以外にも、警察は事件として立件するに足る書類を作って、事件は警察から検察へと送られるわけです。被疑者を逮捕して身柄を拘束している場合、警察は48時間以内に事件を検察へ送検しなければなりません。ドラマなどで、「○時○分! 逮捕!」と刑事が叫ぶのは、逮捕時間を被疑者に告知する意味があります。
この時告知された時刻から48時間以内に、警察は事件を検察へ送検しなければならないのです。もし警察が書類の作成にもたついたりして48時間を1秒でも過ぎたら、それは刑事手続き上“不当逮捕”になってしまいます。今時そんな不手際を警察することは、まずないといってもいいですが。
刑事手続きの流れ(3)検察への送検から検事調べ
刑事事件のニュースで報道される「送検」って何?
よくTVのニュースで事件を起こしたとされる被疑者が、警察署から車に乗せられてどこかに連れて行かれる場面が放映されます。ニュースキャスターの話を聞いていれば、ちゃんと紹介されているケースも多いのですが、あのシーンは警察での手続きが終わり、被疑者の身柄が検察庁へ送られる「送検」という刑事手続きなのです。
警察は刑訴法で定められたルール(刑事訴訟法203条1項)によって、逮捕から48時間以内に捜査書類と共に被疑者の身柄を検察へ渡さなければなりません。この送検によって、事件は警察から検察へと指揮権が移ることになっています。
送検には、被疑者の身柄を一緒に検察に送る身柄送検と、書類だけを検察に送る書類送検がありますが、被疑者が逮捕されて身柄が拘束されている事件の場合、普通は身柄送検になりますので、ただ「送検」といえば普通は身柄送検を指します。
警察と検察はどう違うの?
日本では刑事訴訟法はもちろんのこと、実際の刑事手続きは義務教育で習いませんので、警察と検察の区別ができていない人が多くいます。詳しい検察の仕事については別章で紹介しますが、警察と検察の大きな違いは所轄官庁です。警察は警察庁と各地方自治体が所轄している組織になります。一方、検察は法務省が所轄する組織で、同じ公的機関であっても、所轄省庁は全く違う別組織です。
刑事手続き上の検察の役目はいろいろありますが、まず警察が送検してきた事件を再度検証することで、「検事」、または「副検事」という役職の検察官が行います。送検されてきた被疑者を起訴するか不起訴にするか、あるいは勾留して捜査を継続するかを送検後24時間以内に決定しなければなりません。
刑事手続きで被疑者は検事からも取調べされる!
検察の検事は担当になった被疑者と直接会って取調べをします。被疑者は逮捕から48時間以内に、警察から検察庁へ連行されますが、被疑者一人を何人もの警察官が取り囲んで検察庁へ連れて行くケースは、その事件がよほど世間の注目を集めているときだけです。
新聞のベタ記事にもならないような刑事事件の被疑者たちは、検察の所轄管区内にある警察署を護送バスが巡回し、十把一絡げにして検察庁まで連行されます。そして「同行室」と呼ばれる待機所で待たされ、検事から呼び出しをうけると、手錠腰縄姿で検事の執務室で取調べを受けるわけです。実際に取調べを受ける時には、手錠は外してもらえますが、被疑者自身が座る椅子に腰縄と共に手錠は固定されます。
検察での取り調べも警察での取り調べと基本的には同じです
検事の取調べの内容ですが、実は基本的に警察と全く同じことを聞かれると思って間違いありません。さらに検事調べで最初に作る調書も「弁解録取書」です。所轄官庁が違うと、手続きも最初から…といった、いかにもお役所という感じの手続きですが、検事はすでに警察から送検されてきた書類は全て目を通しています。
ですから同じ書類を作るにしても、実はちょっと違った意味を持っているわけです。検察の検事の作る調書の正式名称は、「検察官面前調書(通称:検面調書)」と呼ばれています。
警察と検察の取り調べの違いは視点の違い!目的は起訴です!
実は実際の裁判で証拠採用されるのは、この検面調書の方で、警察で作った員面調書はほとんど使われません。検事が取調べをする時に、もっとも意識しているのは、この被疑者を起訴して、確実に有罪に出来るか?という点です。したがって同じ事件の取調べでも、警察の捜査官と検事とでは、視点が違うという事は覚えておきましょう。
刑事手続き上での「逮捕」はここまで!起訴か不起訴か勾留かが決まる!
検事による最初の取調べ(「初件」と言われる)が終わると、基本的に検事は被疑者を起訴するか、不起訴にするかの判断をしなければなりません。具体的には送検されてから24時間以内ということになっています。それが出来なければ「逮捕」という身柄拘束はタイムアウトになり、被疑者の身柄拘束は終了するわけです。もっとも現実的な話、検事が判断を決めかねて、刑訴法で定められたタイムアウトで被疑者が自由になるなんて事はまずないでしょう。
この時点における検事の判断で、刑事事件の手続きは3つのパターンに別れます。
刑事手続きの3つのパターン
- 起訴決定
- 不起訴決定
- 勾留請求して捜査を続行
送検後24時間以内に起訴決定などというスピード手続きがあるのか?と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなに特殊なパターンではありません。
もっとも有名なのは痴漢事件でしょう。初犯で被疑者自身が罪を認めて反省している場合、警察では事件発生後半日くらいで送検し、検察では略式起訴され、罰金を支払って事件は終了という展開です。
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逆に送検後24時間以内に不起訴が決まるケースの方が珍しいといえます。送検されてきた警察の書類に、よほど致命的なミスが発見されない限り、検事が即刻不起訴を言い渡すことはないと考えた方がいいでしょう。
勾留請求が行われ、取り調べが継続されるケースも多い
検事が起訴か不起訴か迷った場合、普通は裁判所に対して「勾留請求」を行い、被疑者の身柄を拘束して引き続き事件の捜査を行うというパターンになるのが普通です。
世間で一般に言われる「逮捕」という被疑者の身柄拘束はここまでになります。警察で48時間以内、検察で24時間、合計で最長72時間の身柄拘束を「逮捕」というわけです。ただ事件捜査の必要性から、この72時間以降も身柄拘束が続くこともよくある話でですが、それは「勾留」といわれる別の手続きが必要になります。勾留は検事が裁判所に対して「勾留請求」という手続きをして、裁判所がそれを認めなければなりません。
刑事手続きの流れ(4)勾留請求・勾留質問
刑事手続き上の「勾留」の判断は裁判所が行う!
日本は憲法によって国民は自由が保障されています。つまり基本的には、誰もが好きなときに行きたい場所へ、勝手に行くことが出来るわけです。ところが犯罪者が好き勝手に逃亡したり、証拠を隠滅してしまったら、法で裁くことが出来なくなってしまいます。
そこで犯罪者(と思われる人物)の自由を国家権力が奪う行為が「逮捕」であり、「勾留」なのです。ただ日本は独裁国家ではありませんので、国家権力の発動には制限が設けられています。まず逮捕にしても勾留にしても、裁判所の許可が必要ということです。
逮捕の場合、実際に犯人が犯行を行う場面を現認して行う現行犯逮捕を除けば、必ず裁判所が発行する逮捕状が必要になります。また逮捕の効力が切れた後も捜査上の必要から被疑者の身柄拘束が必要な場合は、裁判所に対して「勾留請求」という手続きをして、裁判所に被疑者を勾留する許可を得なければならないわけです。
裁判官が直接、刑事事件の被疑者と会って行う「勾留質問」とは?
刑事事件の場合、裁判所に対して被疑者の勾留請求を行うのは検察の検事ですが、被疑者自身はその書類を見ることはありません。ただ裁判所が検事から請求された書類をそのまま認めることはなく、その勾留が正当なモノかどうか判断するため、被疑者を裁判所へ呼び出して直接裁判官が質問する「勾留質問」が行われます。
事件の発生件数が少ない地方だと、午前中に検察へ「初件」の検事調べが行われ、午後から裁判所へと連行されて「勾留質問」を行うというスケジュールになる場合もあるようです。しかし都市部では1日発生する事件が多すぎるため、1日目は検事調べ、翌日に勾留質問と二日に渡って手続きが行われます。
勾留質問は都市部では時間がかかる
被疑者は検事調べの時と同様に、裁判所の所轄地域の警察署から護送バスで十把一絡げで裁判所に連行され、検察庁と似たような同行室で、自分の順番が回ってきた時を除き、丸一日待機させられるわけです。
勾留質問は同行室の隣にある部屋に呼ばれ、裁判官が被疑者に対し逮捕容疑を淡々と読み上げ、「これについて貴方の意見はありますか?」と聞くだけです。
勾留質問されても大抵は拘留決定となってしまう?
被疑者が逮捕容疑の罪を認めてようが否認しようが、裁判官はこれまた淡々と話を聞き、勾留質問はそれで終わります。同行室で再び待機していると、刑務官(警察官みたいな格好をしているが、法務省の役人)が、被疑者を呼び出して勾留が決定されたか、却下になったかを教えてくれますが、大抵の場合は勾留決定だと思って間違いないでしょう。
さらにこの時、外部との面会を制限する「接見禁止」処置も下されます。接見禁止処置は書面で交付されますので、接見禁止になった被疑者はその書類も渡されます。
刑事手続きで「勾留」できる最長期間は10日間!短くなることもある!
被疑者の身柄拘束に関して、国家権力に課せられているもうひとつの制約は時間です。逮捕は警察で最長48時間、検察で最長24時間でした。そして勾留は勾留請求した日も含めて、最長で10日間と定められています。最長で10日という事ですから、勾留が決定しても10日以内に被疑者が釈放されて日常生活に戻れることも十分にあり得る話です。
通常はこの時点で被疑者は警察署内の留置場で身柄を拘束されています。一度勾留が決定すると、勾留満期までチンタラと捜査が行われ、丸一日留置場内で放置されたりする事も珍しくはありません。ただ近年は刑事事件に熱心な弁護士が増えてきており、裁判所に対して勾留取消を請求したり、様々な方法でクライアントである被疑者の身柄を解放しようとしてくれるようになりました。
そんな弁護士の努力が実れば、勾留満期になる前に日常生活へ戻れることもあるのですが、逆に勾留の満期が10日であっても、勾留期間がさらに延びることもあります。それが「勾留延長」です。
刑事手続きの流れ(5)勾留延長・処分決定
捜査が難航すれば「勾留」は10日間だけでは終わらない!勾留延長とは?
勾留が決定されると、被疑者は引き続き身柄を拘束されたまま、事件の取調べを受けます。刑訴法で定められた筋論で言えば、すでに身柄も書類も警察に送検されてしまっているのです。しかし多くの場合、勾留決定後も被疑者は警察の留置場で拘束され、警察の捜査官から取り調べを受けたり、「引き当たり」と呼ばれる現場検証などに狩り出されたりします。
これは被疑者を収容する刑事施設が不足していることと、検事の数が足りないので捜査は警察が代行しているというのがニッポンの司法のタテマエです。勾留は10日が満期なのですが10日間捜査をしても、まだ処分を決定できないと検事が判断した場合、1度だけ裁判所に「勾留延長」を請求できます。
被疑者不在!書類手続きだけで勾留延長は決定されてしまう
延長可能な日数は最初の勾留と同じく10日間です。ただこの時の手続きに勾留質問はなく、被疑者の頭を飛び越えて書類手続きだけで、勾留延長は決定されます。それから極めて特殊な犯罪の場合、もう一度だけ5日間の「勾留再延長」という手続きも可能なのですが、勾留再延長請求が可能なモノは「内乱罪」や「外患罪」といった国家に楯突く反乱系の犯罪のみです。普通の市民が犯す犯罪での勾留延長は1回だけだと思っていいでしょう。
「勾留」にはタイムリミットがある!いつまでも刑事事件の被疑者を勾留できない
そんなわけで被疑者の身柄を拘束して事件を捜査するという手法は、基本的に最長で23日がタイムリミットとなります。
冤罪に巻き込まれ、警察の担当捜査官や検察の検事が、「素直に罪を認めなければ、いつまででも外に出られないぞ!」と言って自白を強要しますが、これは完璧なハッタリです。日本の刑事手続きでは、何人も勾留期間を越えて被疑者の身柄を拘束できないのです。
警察・検察は脅しでウソをつくこともある?
逮捕されてから23日間の間、容疑を否認し続ければ、不起訴になる可能性が極めて高いと言えます。確かに捜査のプロである警察官や検事を相手に、3週間前後も耐え続けるのは相当な精神力を必要としますが、真実を貫くのはその後の人生、全てがかかっているといっても過言ではありません。
一生の踏ん張り所ですので、弁護士のアドバイスを受けつつ、国家権力と戦いましょう。
ただし掛かっている容疑が真実で、ホントに罪を犯してしまっている場合は、素直に罪を認めた方が優位に働く可能性が高いので、無駄な抵抗はやめてください。
最長23日間の身柄拘束で処分は決定する!
被疑者が事件の容疑を認めていても、否認していても勾留期間の満期までには、検事は処分を決定しなければなりません。処分には
- 起訴
- 不起訴
- 処分保留
があります。
「起訴」は事件の容疑に関して裁判を起こすことです。逮捕・勾留期間中に罪を認めている被疑者の場合、勾留期間の満期以前に起訴が決まる場合もあります。一方、不起訴や処分保留は多くの場合、勾留期間ギリギリまで検事が処分を決定しません。
不起訴は裁判を起こさず、ここで刑事手続きが終了します。不起訴には色々理由はありますが、不起訴処分で終われば被疑者はそこで“無実の一般市民”に戻ります。実は日本国内で発生している刑事事件で、不起訴処分で終わっているモノは結構な数に上っており、“逮捕=犯罪者”というのは、マスコミが作り上げた勝手なイメージなのです。
そして「処分保留」というのは、いわゆるタイムアップで釈放という事になります。被疑者の勾留期間中に起訴に足るだけの証拠が集められなかったのですが、検事は起訴を諦めていないということです。勾留が満期を迎えたのですから、当然それ以上は1秒でも、被疑者の身柄を拘束しておくことは出来ません。しかし今後の捜査次第では、いきなり起訴される可能性がある釈放が処分保留であり、事件はまだ終わっていないと言えるでしょう。
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