痴漢は初犯でも逮捕される?捕まったら実刑になるのか徹底解説
- 2024年7月16日
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- もし逮捕されてしまったら
- 刑事事件弁護士相談広場
初犯でも痴漢で逮捕されることはある!
痴漢などの罪を犯したとき、初犯より前科のある者のほうがより重く処罰されるというイメージがあるかもしれません。傾向としては間違っていませんが、必ずしも初犯であるということが処罰内容を軽くするとは限りません。
そしてこのことは逮捕の有無についても同様です。そもそも逮捕されるかどうかは罪の重さや前科の有無などで一律に決まるものではありません。
逃走のおそれや証拠を隠そうとしたかどうかで判断されるのであり、初犯かどうかは基準とはならないのです。
そのため、痴漢という行為をした場合、行為者が初犯であっても当然逮捕の可能性はあるということです。
どのような場合に逮捕されやすく、その場合どのような処罰が与えられるのか、捕まった者がするべき対応などについては以下で説明していきます。
痴漢での逮捕をきっかけに生活が崩壊してしまう恐れも
なお、逮捕されただけでは犯罪者とはなりませんが、捕まってしまうと日常生活に大きな影響が及びます。
たとえば、会社や学校は休まざるを得なくなります。しかも実名報道されてしまうと全国的に自分の名前が悪いイメージで広がってしまいます。
報道をされなくても、身近にいる人たちは逮捕されたことに気が付き、犯罪者のような扱いを受けてしまうことも考えられます。
逮捕されるだけでも前歴は付いてしまい、有罪判決を受ければ刑罰を受け、前科も付くこととなります。
痴漢の場合には特に周囲からの見る目が変わってしまうことも考えられます。近年では性犯罪に対する法改正もなされ厳罰化の流れが見られます。世間の性犯罪者への評価もより厳しくなっていると言えるでしょう。場合によっては自分だけでなく、家族が嫌がらせを受けることもあり得ます。
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初犯の痴漢でも逮捕されやすいケース
有罪になるかどうかは別として、逮捕されやすいケースがあります。どんな場合に逮捕されやすくなるのか見ていきます。
痴漢の現行犯
痴漢による逮捕では現行犯逮捕が一般的です。これは今まさに痴漢行為をしていたか、行為を終えたばかりの状況においてされる逮捕です。
通常は警察官でなければ捕まえる権限を有しませんが、現行犯は例外的に私人逮捕が認められています。つまり被害者本人や、近くでたまたま見かけた人によって捕まえられる可能性があるのです。
この例外的措置が認められているのは、現行犯では誤認逮捕が起こりにくいからです。
人の密集する駅のホームや電車内で痴漢が起こることも多いですが、こうした場所では近くに多くの人がいるため、現行犯逮捕も比較的起こりやすいと言えるでしょう。
また普段から痴漢が多発している場所であれば警察官が巡回していることもあります。そのため警察官による現行犯逮捕も十分あり得ます。
その後は警察署に連行され取調べを受けます。
現行犯逮捕以外では後日逮捕という可能性も
現行犯逮捕に対し、通常逮捕では逮捕状を要します。憲法上明記されている令状主義に則った基本的な逮捕の方法です。
ただし令状の請求を警察から裁判官に出すという過程を経るため、事件が起こってから数日以上は期間が空きます。そのため「後日逮捕」とも呼ばれます。
痴漢の場合、現行犯の割合が比較的高く、軽微な痴漢行為であれば後日逮捕に至らない可能性も高いです。
ただし被害の程度が大きい、行為が非常に悪質なケースでは初犯なども関係なく、痴漢による後日逮捕がなされることも十分あり得ます。
痴漢行為の内容が悪質
痴漢をしてその場で捕らえられなくても、行為が悪質であれば後日逮捕がなされる可能性も高くなります。
その場合数日以上は何事もなく生活でき、もう逮捕されることはないだろうと思い始めた頃に捕まることもあります。捜査に時間がかかれば、時間から数か月経っての逮捕ということもあり得ます。
悪質な行為については色んなパターンが考えられます。
たとえば、計画的に2人掛けシートへ追い込み逃げられないようにして痴漢をするケースや、複数人で囲んで痴漢をした場合などです。1人の被害者に対し執拗に繰り返す、ほかにも色んなことが想定できます。
逮捕されないケース
どんな場合に逮捕されやすいのか説明してきました。次に、逮捕されなかった場合、どのように刑事手続が進んでいくのか説明していきます。まず、理解しておきたいのは、逮捕されても無罪になるケースがあるように、逮捕されなくても有罪になることはあるということです。実際、発覚した刑事事件のうち多くは逮捕されずに手続を進めています。これを在宅事件と言います。
在宅事件として手続きが進んだ場合
在宅事件として扱われる場合、身柄拘束を受けませんので拘置所等で生活する必要はなく、自宅で普通に生活をすることができます。ただし捜査機関による取調べなどには応じる必要があります。これを拒否したり、逃げようとしたりすればその時点から逮捕をされる可能性もあります。
逮捕された場合と在宅事件とで異なるのは、自由に生活できるかどうか以外にも、厳格な時間制限があるかどうかという点にもあります。
逮捕された場合には、最大48時間以内に警察から検察へと送致し、その後24時間以内に検察は勾留請求をするかどうか判断しなければなりません。その後、勾留されたときも原則10日まで、延長含め最大20日間の勾留期間に起訴処分とするかどうかの判断を下さなければなりません。
刑事裁判で有罪判決が下されるまでは無罪推定がはたらくため、そのような者の身体の自由を奪うことには慎重にならなければいけないのです。実際のところ起訴後も勾留されると長期間自由を奪われ、禁錮刑を受けているのと近い状況になってしまうという問題はありますが、基本的には制限時間を設けて厳守するように法定されています。
不安な状況が長く続く在宅事件
一方在宅事件の場合には、こうした時間の縛りがないため、起訴までにかなり時間がかかってしまうこともあります。不起訴がいつ確定するのか、不安な状況が長く続くということは在宅事件のデメリットとも言えるでしょう。
痴漢は何罪で捕まるのか
犯罪として逮捕・起訴されるには、事前にその行為が罰せられるものとして法定されていなければなりません。罪刑法定主義と言い、犯罪理論における最も重要な考え方です。しかし痴漢罪というものは定められていません。
痴漢で捕まる場合は都道府県ごとに定めのある「迷惑防止条例違反」か、全国共通で適用される刑法上の「強制わいせつ罪」を犯した者として扱われます。
迷惑防止条例違反
条例は各都道府県独特の法律のようなもので、具体的な禁止行為や処罰内容は違っていることがありますが、ほとんど同じように定められている条例も多いです。「迷惑防止条例」という名前は総称で、都道府県によって微妙な違いはありますが、おおよそ似た名前で似た内容の条例はどこでも定められています。
その条例によれば、人に恥ずかしい思いをさせること、公共の場で身体に触れる行為などを罰する条文が置かれています。直接痴漢とは記述されていなくても、このような文言に該当するとして処分するのです。
強制わいせつ罪
強制わいせつ罪は刑法に定めが置かれています。暴行や脅迫を手段にわいせつな行為をはたらいたときには罰するとあり、痴漢の程度がひどいケースではこの罪で処罰されます。相手が13歳未満であれば、暴行や脅迫は要件とされず、わいせつな行為をしただけで同罪が成立します。一般的には痴漢行為がここでのわいせつな行為にあたると言えるでしょう。
服の中に手を入れるような痴漢行為の場合には「強制わいせつ罪」、服の上からお尻などを触る痴漢行為の場合には「迷惑防止条例違反」で処罰されることが多いです。
ただし、実際に強制わいせつ罪か迷惑防止条例違反のどちらにあたるかはそれぞれのケースごとに異なりますので、弁護士に相談してみることをおすすめします。
痴漢初犯の懲役・罰金の相場
懲役刑と罰金刑の判断
有罪となった場合、刑罰として懲役刑または罰金刑が科されます。
この判断は行為の態様によります。ここでは様々な要素が判断材料に使われ、初犯かどうかも考慮されます。
相手が処罰を強く求めているかどうか、相手の年齢、常習性なども重要になってきます。特に痴漢をすでに何度もしている、過去に捕まっているなどの事実があれば重く処罰されやすくなります。
また初犯だからといって軽く処罰されるわけではありません。
痴漢の初犯で実刑判決が下ったケース
実際にあった例では、車両を移動してまで逃げた相手を執拗に追いかけて長時間痴漢をしたという事件がありました。この事件では犯人は初犯でしたが実刑判決が下されています。
また特定の相手に数か月間もつきまとい数十回の痴漢行為をした強制わいせつ事件でも実刑判決が下されています。犯人に前科はありませんでしたが、常習性が顕著であること、相手方はパニック障害など程度の重い被害を受けていることなどを理由に悪質であると評価されています。
痴漢の初犯で懲役刑となったものの執行猶予が付いたケース
一方で、強制わいせつ罪で起訴されたものの執行猶予が与えられ実刑を避けられた事例もあります。未成年者に対し電車内で臀部を触り、下着にも手を入れようとしたところ、これを止められ未遂に終わったという事件です。
犯行内容は悪質であったため懲役刑が宣告されていますが、初犯であることなどその他の状況を勘案して執行猶予が付与されたのです。
このように、懲役刑が科されることも珍しくはないものの、実際のところ多くのケースでは条例違反として扱われています。
事実を認め反省をしているのであれば罰金刑で済まされていることも件数としては多いです。特に相手方との示談交渉が成立していれば不起訴処分にかなり近づくことになります。
条例違反の場合
迷惑防止条例違反の場合、各都道府県に置かれている定めにもよりますが、多くは6か月以下の懲役か、50万円以下の罰金に処すると決められています。最大で半年間刑務所で過ごすことになります。罰金額は最大で50万円です。
ただし上で述べた通り、刑法違反ではなく条例違反の範疇であれば、相場としては罰金刑になることが多く、特に初犯であれば50万円より低い金額の支払を命じられることになるでしょう。
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強制わいせつ罪の場合
強制わいせつ罪では、6か月以上10年以下の懲役が法定されています。当然、条例違反より重く罰せられます。条例では最大期間とされていた半年が、こちらでは最低の期間となっています。非常に悪質であれば10年間刑務所で過ごさなければならなくなります。
強制わいせつとして評価されている段階で、比較的重い痴漢事件で扱われていることが考えられます。そのため実刑になることもあり得ますが、執行猶予が付与されるケースも多くあります。執行猶予が与えられると、その期間中に再犯などをしなければ刑罰は失効、刑務所に収監されることもなくなります。ただし宣告される量刑が3年以下の懲役でなければ刑務所に入ることになります。
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実際のところこれまでの割合から言えば、痴漢の初犯で懲役刑の実刑になる可能性は低いと言えます。ただし、痴漢の常習性が高く非常に悪質な行為でなければ執行猶予が付与されずに実刑判決となる可能性もあります。また、やはり被害者との示談交渉も重要になってきます。
痴漢の初犯で逮捕されてしまったときにすべきこと
痴漢の初犯で逮捕されてしまった場合どうすればいいのでしょうか。すでに行為は終わっており結果も発生しています。そのためその後の手続や判決の内容も変えようがないのでしょうか。実は、痴漢逮捕後の対応によって処分内容は変わってくることも多いです。特に重要なポイントをここで紹介していきます。
痴漢被害者との示談交渉
これまでに何度か出てきたように、示談の交渉はさまざまな面において重要な意味を持ちます。一つは刑を軽くすることです。そして有罪判決になる可能性を下げることにも繋がります。早い段階で成立させておけば、起訴されずに済む可能性もあるでしょう。早期釈放のためにも効果的です。
示談が成立しているということは、被害者から許しを得ている、少なくとも処罰感情は強くないという印象を与えることができます。そのため、事後に加害者側がすべき最も重要な対策は被害者と示談を成立させるということなのです。
示談することで民事訴訟・損害賠償のリスクを防ぐ
また、示談成立はその後の民事上の責任追及を避けるという点においても効果があります。
刑罰を受けるまでの流れはすべて刑事手続上のものであり、国家と犯罪者の対立構造で刑事裁判が開かれます。しかしこの場合罰金刑などに科されたとしても被害者に支払うわけではありませんので、被害者個人が被った損害は回復しません。
そこで個人的にも民事裁判を起こし損害賠償を請求することがあります。示談交渉は本来刑事上の手続ではなく、民事に強く関係するものです。そしてこの交渉においてその後の民事訴訟を防ぐことも可能なのです。
反省の意を示す
捕まった本人は、取調べにおいて反省の意を示すことが大切です。まったく反省の色を見せず、再犯の可能性も高いと評価されてしまうとその後の手続でも不利な立場に置かれるかもしれません。
できるだけ反省していることを伝え、再犯可能性が低いと評価してもらうためにも、自ら家族等の監督下に入り専門のクリニックに通うなどの措置をとるようにするのがいいでしょう。もちろん、誤認逮捕の場合には罪を認めるのではなく、冤罪である旨しっかりと伝え、事実でないことは否認しなければなりません。
弁護士を呼ぶ
痴漢の初犯で逮捕された際には、示談やその後の態度などについても具体的にどうすればいいのか、分からないことだらけかと思いますが、そのときには弁護士に頼るようにしましょう。弁護士は逮捕後すぐから呼ぶことができますので、できるだけ早い段階で相談するようにします。弁護士に依頼することで示談の交渉は成立しやすくなり、不起訴処分を得ることや、早期釈放もしてもらいやすくなるでしょう。
また、弁護士にはそれぞれの得意分野がありますので、弁護士を探すときには「刑事事件に強い弁護士」を探して相談することをおすすめします。
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