10人に1人は友人・家族の逮捕を経験…私たちの身近で起こりやすい犯罪は?【刑事事件アンケート】

刑事事件弁護士相談広場2021年アンケート調査

毎日の報道で、誰かの「逮捕」のニュースを目にしない日は、ほぼありません。
テレビやインターネットの画面の向こう側では、わいせつ・傷害・窃盗・横領に詐欺など、毎日さまざまな犯罪がスキャンダラスな形で取り上げられますが、実際のところ、こうした犯罪は本当に私達の日常と縁遠いところで起こっているものなのでしょうか。
刑事事件弁護士相談広場では、こうした刑事事件や犯罪行為が私たちのどのくらい身近に潜んでいるのかを調査するため、WEBアンケートを実施しました。

本記事では、アンケート調査を通じて見えてきた、私達の日常生活と刑事事件犯罪との距離、身近な人の逮捕で影響を受けた方々の生の声をご紹介していきます。

刑事事件に関するアンケート

実施:刑事事件弁護士相談広場 編集部
回答方法:Webアンケート調査
調査日時:2021年2月16日 ~2月22日
調査対象・回答者数:
[予備調査]全国の20~69歳以下の男女計5,000人
[本調査]家族、友人、知人が警察に捕まり、弁護士に相談したことのある方 85人(男性 43人 女性 42人)/ 89人

「家族や友人・知人」が警察に捕まった経験がある人は1割強

まず、犯罪行為が私達のどれくらい身近なところで発生しているものなのかを図る指標として、家族や知人・友人など、親しい人が警察に捕まったことがあるか、経験の有無を質問しました。

Q1. あなたのご家族や知人・友人など、あなたの身近で犯罪・トラブルが原因で警察に捕まったことのある方はいますか?
Q1. あなたのご家族や知人・友人など、あなたの身近で犯罪・トラブルが原因で警察に捕まったことのある方はいますか?

全国の20~69歳以下の男女 計5,000人のうち「警察に捕まった家族や知人・友人がいる」と答えた人は538人(10.76%)。
身近な人の逮捕経験がある人は、おおよそ10人に1人という結果となりました。

特に身近で起こりやすい「万引・窃盗」「痴漢・わいせつ」「暴行・傷害」

それでは、実際に身近で起こりやすい犯罪・トラブルにはどんなものがあるのでしょうか。
前の質問で「(警察に捕まったことのある家族・知人・友人が)いる」と回答した538人に対し、その人が捕まった原因となった犯罪・トラブルはどんなものだったのか、主な要因をうかがいました。

Q2.その方が捕まった原因になったのはどんな犯罪・トラブルでしたか。
Q2.その方が捕まった原因になったのはどんな犯罪・トラブルでしたか。主な要因を以下より1つ選択してください。

1位の万引・窃盗(17.66%)、2位の痴漢・わいせつ(10.97%)の2つが10ポイント越え。以後、3位 傷害(9.48%)・4位 暴行(7.99%)と、ともに他人に危害を加える犯罪が続きました。

傷害と暴行は、被害者の傷害(怪我)の有無で分かれますが、類型的に近い両者を合計すると17.47%。1位の万引・窃盗にはごく僅差での2位となります。
こうした結果をふまえると

  • 万引・窃盗
  • 痴漢・わいせつ
  • 傷害・暴行

この3つが、日常暮らしている中で、特に身近で起こりやすい犯罪と言えそうです。

覚せい剤・大麻などの薬物犯罪(6.88%)や淫行事件(4.65%)は、芸能人が関与するケースも含め、社会的に注目を集めやすい犯罪です。報道される機会も多く、日常的に起こるものと感じる方も多いと思いますが、今回の調査では全体の5位・6位に留まり、先に上げた「万引・窃盗」「痴漢・わいせつ」「傷害・暴行」の3つとの比較では、数字にやや差のある結果となりました。

参考リンク

家族や友人・知人の逮捕で、約半数強が逮捕後の対応に巻き込まれる

Q3.その捕まった方のために、当時、あなた自身はなにか行動を取りましたか?
Q3.その捕まった方のために、当時、あなた自身はなにか行動を取りましたか?

警察に捕まり、問題が発生するのは捕まった本人だけではありません。捕まった方の家族や職場の仲間、親しい友人や恋人など本人と関係の深い方の場合、自分が望む・望まないに関わらず、問題解決のための行動や対応を強いられる場合があります。

実際、今回の調査で「(警察に捕まったことのある家族・知人・友人が)いる」と回答した538人のうち、身近な人の逮捕に対して「特になにもしなかった」と回答したのは239人。
残り299人(55.58%)、およそ半数以上の方は、身近な人が捕まった影響で、なんらかの具体的行動を取っていたことがわかりました。

調査結果で最多だったのは「本人やご家族の相談に乗った」128人(23.79%)。
2位「本人に接見(面会)に行った」97人(18.03%)に続いて「弁護士に相談した」89人(16.54%)が3位となりました。

警察に捕まった方が接見禁止処分となった場合、友人・知人はもちろん、実の家族だったとしても、逮捕者本人と直接会って話をすることはできなくなります。接見禁止となった場合、逮捕者との接見を許されるのは弁護士だけです。
「弁護士に相談した」と回答した方の中には、身近な人が接見禁止処分を受け、直接会うことができなくなり、相談した方も少なくなかったものと考えられます。

逮捕をきっかけに、一切の関係を断つ人も

また、「その他」で受け付けたテキスト回答の中には

  • 着信拒否にするなどして一切の関係を断った(神奈川県・男性・27歳)

と、逮捕をひとつのきっかけとして、その方との関係を断絶したという声もありました。
事情の説明ひとつできないまま、逮捕されたことで信頼を失い、人が離れていくのは、捕まった方にとって厳しいことですが、刑事事件の影響としては確実に起こりうる、ひとつの事実です。

刑事事件の弁護士への相談、72.94%が満足

先の質問で、逮捕された家族や知人、友人について「弁護士に相談した」と回答した方 89人を対象に、弁護士に相談した結果、満足したかどうかを、追加で調査しました。

ご家族や友人・知人が警察に捕まった際、弁護士に相談して満足でしたか?不満を感じましたか?
ご家族や友人・知人が警察に捕まった際、弁護士に相談して満足でしたか?不満を感じましたか?

家族や友人・知人の逮捕について、弁護士に相談して満足した人は72.94%。刑事事件の弁護士相談の満足率は、7割を超える結果となりました。

刑事事件について弁護士へ相談したことに「満足した」「不満を感じた」それぞれの回答者に対して、その具体的な理由も回答してもらいました。

満足した理由

  • とてもわかりやすくて、便利で、料金も手頃だったので(大阪府・男性・37歳)
  • 親身になって相談にのってくれたから(東京都・男性・33歳)
  • 親切、丁寧でとても腰が低く、最初から最後までよくして頂きました(千葉県・女性・60歳)
  • 質問に的確に答えてもらった(神奈川県・女性・36歳)
  • 結果は別にしてもとても親身になって相談にのってもらったから。(東京都・男性・63歳)
  • 親身に相談に乗っていただいたし、結果不起訴になったから。(福岡県・男性・53歳)
  • 適切なアドバイス、丁寧な対応、解決策を見出すことができた等(広島県・男性・37歳)
  • 刑事事件で満足度が高いのは、依頼者に対して「親切で丁寧」「適切・的確な対応」が行える弁護士

    全体に多かったのは
    「親切・親身になってくれた」
    「質問に的確に答えてくれた・適切なアドバイスをくれた」
    というコメント。

    当然ですが、身近な人が警察に逮捕された状況下、何を、どう対応すべきか理解している方というのは一般的にほとんどいません。
    不安感を抱えた状況で弁護士に相談したところ、親身になって、的確な対応をしてくれた経験は、結果がどうなったかに関わらず、救われた経験として記憶に残っているようです。

    不満を感じた理由

    一方で、弁護士に相談して「不満を感じた」と答えた方の理由としては、以下のようなものが上がりました。

  • あまりにも相談料が高すぎる(神奈川県・女性・48歳)
  • 弁護士費用が高額でした。(東京都・男性・48歳)
  • 金額が高い(大阪府・男性・34歳)
  • 伝えてほしいといったことを忘れていて伝わっていなかったこと。(兵庫県・女性・54歳)
  • 他の案件も抱えていたせいか、上の空で話を聞かれ、次回約束なども忘れられていた(長崎県・女性・44歳)
  • 国選だったせいなのか、こちらから申し出ないと反応がなかった。(宮城県・男性・49歳)
  • 刑事事件の相談費用はなぜ高い?

    「不満を感じた」理由としては、まず「金額が高い」という声が多く見られました。

    一般的に、刑事事件の相談・依頼費用は、弁護士が取り扱う他の相談内容と比べると高めになりやすいと言われています。
    刑事事件の弁護士費用が高めになることには一定の理由があります。

    • 刑事事件の特性上、緊急の対応が求められるケースが多い。
    • 接見禁止の場合、逮捕者本人とやりとりできるのは弁護士だけ
    • 弁護士なしで進むと、逮捕拘束が長期化、前科がつく恐れがある

    刑事事件は対応にスピード感が求められ、弁護士が果たす役割・対応の重大性も高いことから、他の相談事に比べ高めの料金を設定している法律事務所も少なくないのが実際です。
    また、軽微な事案で逮捕された場合、弁護士が警察に出向いて対応する機会はごくわずかで済むケースもあります。
    金額の高さを不満の理由に上げた方の中には、実際に弁護士が対応した時間や回数のわりに、何十万もの請求を受け取ったため、金額が高いと感じた可能性もあるでしょう。

    国選弁護人・最大のネックは「弁護士を選べないこと」

    刑事事件に対応するための弁護士費用を準備できない場合、国選弁護人を利用することも可能です。国選弁護制度は国が報酬を支払い、基本的に無料で弁護士をつけることができる仕組みです。接見の回数が多くなった場合でも、10~20万円程度に収まるケースが大半で、私選弁護に比べると非常に安い金額で依頼することができます。

    一方で、国選弁護人を利用する最大のネックは「弁護士を選べない」ことにあります。
    弁護士からすると、国選は私選に比べて報酬が非常に安く、アンケートの回答にもあった通り、「国選の弁護士は積極的に動いてくれない」という利用者の声も少なくありません。
    もちろん、国選・私選は関係なく、真摯に対応する弁護士もいるはずですが、国選でそうした弁護士についてもらえるかどうかはわかりません。運次第と言えます。
    金額を抑えられても「弁護士を選んで依頼する」ことができない点は、国選弁護人を利用する大きなデメリットです。

    「依頼者と弁護士の信頼関係」は、スムーズに問題解決を進めるカギ

    金額以外の不満点として「弁護士に約束した対応を忘れられた」という回答が複数ありました。
    依頼する側からすればこれは不満を感じて当然ですが、仕事の丁寧さ・対応の真摯さは、相談した弁護士個人の性格・性質に寄る部分です。
    「依頼者と弁護士の間で互いに信頼関係を築けるか」は弁護士相談の満足度に直結します。契約を結ぶ前に、過去の実績や弁護士本人の人となりを見極めた上で、信頼できる相手に依頼ができる点も「刑事事件の弁護士は私選が良い」とよく言われる理由のひとつです。

    刑事事件アンケートまとめ

    10人に1人は、犯罪や刑事事件で警察に捕まった人と身近でつながっている。この数字を多いと取るか少ないと取るかは解釈が分かれるかもしれません。
    ただ、確かに言えるのは、私達の日常生活から決して遠くないところにも犯罪行為は潜んでいるという事実です。

    特に、今回の調査で名前の上がった「万引・窃盗」「痴漢・わいせつ」「傷害・暴行」は、突発的な衝動に駆られて凶行に及んでしまうケースも少なくない犯罪です。
    刑事事件をきっかけに、犯罪を行った本人と、その周囲の身近な人の人生までもが破壊される最悪の事態を回避するには、相談する側が心から信頼して問題解決を任せることのできる弁護士を選ぶことが非常に重要です。

    刑事事件弁護士相談広場では、今回の調査結果もふまえ、刑事事件における弁護士選びの重要性を広く訴え、これからも刑事事件の問題解決に悩む多くの方をサポートしていきます。

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