逮捕後に弁護士に依頼できることとは?

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弁護士は何をしてくれる?

刑事事件の手続きにおいて、逮捕された被疑者・被告人にとって弁護士が欠かせない役割を果たすということは、まったく法律や刑事事件に関わりのない人でも、なんとなくイメージは持っていることでしょう。

例えば逮捕された人の言い分を拘置所での接見において小さな穴が空いたアクリル板を挟んで聞き出す、あるいは法廷において検察と対峙する弁護人といった役割は、簡単に想像することができます。

しかし実際の弁護士は、逮捕直後から被告人のために働き、刑事手続きに関するアドバイスから書類の準備、状況において適切な判断をして被疑者の力となるなど、ドラマや映画では出てこないシーンで大いに活躍しているのです。

弁護士は、被告人の唯一の味方

そして第一に理解しておかなければならないことは、弁護士は逮捕された人にとって唯一の味方だということです。警察や検察に逮捕されてしまったら、もしかしたら家族や友人・知人でさえも見放してしまうかもしれませんし、留置場に収容されてしまうと周りはすべて被疑者を犯人扱いする人たちで、誰も味方はいないと感じてしまうことがあります。

日本の司法制度では、裁判において有罪判決が下され、その判決が確定するまでは推定無罪として扱われるべきなのですが、逮捕された段階でその人は有罪、と思っている人も多いのも事実です。こういう状況下で、逮捕された被疑者の味方になってくれるのは、依頼を受けた弁護士だけです。

冤罪であれば冤罪を証明するために、実際に罪を犯していたならば被疑者の人権を侵害しない正当な取調べや裁判を受けられるように、裁判においてはなるべく軽い量刑で済むように、さまざまな手段を駆使して動いてくれるのが弁護士なのです。

本項では、被疑者が逮捕されてから起訴されてしまうまで、弁護士がどういった活動をしてくれるのかを説明します。

弁護士からの適切なアドバイスは逮捕直後の対応に不可欠

刑事事件の被疑者として逮捕しまった人のほとんどは、その後何が待ち受けているのか、何日間取調べを受け続けないといけないのかなどの知識は持ち合わせていないでしょう。また刑事事件で逮捕されるということは事前に知らされているわけではなく、前もって勉強していることもないと思われます。

中には自分が逮捕されるかもしれないと弁護士に相談に行く人もいるかもしれませんが、非常に希なケースだと考えられます。ほとんどの場合はある日の早朝に突然、警察官が自宅にやってきて、逮捕状を突き付けられ身柄を拘束され、留置場で寝泊まりしながらいつ終わるとも知れぬ取調べを受けることになるのです。

警察や検察は、取調べがいつ終わるのか、自分がこれからどういう手続きを経ていくのかといったことは説明してくれず、普通ではない精神状態に追い込まれてしまったら、自分に質問している相手が警察なのか検察なのか、また裁判官なのかも分からなくなってくることでしょう。

このような最初の手続きについては、弁護士にアドバイスを受けるしかないのです。いつでも弁護士を呼ぶ権利があることと、取調べには応じても自分に不利になることは証言しなくても良いということを覚えておきましょう。

少しでも早く弁護士を呼ぶ

身に覚えのない罪で逮捕された時はもちろん、たとえ自身が犯してしまった罪であっても、これから取調べがいつまで続くのか知らないでいると、逮捕された人には不安しかありません。

留置場がある警察の施設には、誰も刑事事件の被疑者として逮捕されてしまった人の味方はおらず、非常に不安定な精神状態で初期の取調べは行われ、後の裁判にも非常に重要な証拠となる供述調書が作成されてしまいます。

警察や検察は、逮捕する側が描いたシナリオで罪を犯したと考えられる人、いわゆる被疑者を逮捕して取調べを行い、そのシナリオに沿った供述調書を作ろうとしますが、この際、はっきりと否認するところは否認しておかないと、後の裁判で覆すことのできない証拠になってしまうこともあるのです。

刑事事件の手続きに関して素人である被疑者は、刑事事件と法律のプロである警察や検察にかなうわけがなく、最初の取調べで言ったことが裁判の証拠になるということも知らず、上手く言いくるめられてしまう危険性もあります。

そのため、逮捕された後すぐに弁護士に依頼し、刑事手続きについてのアドバイスを受け、どのような態度で取調べを受けるのが良いのか、何を言えば良いのか、何は言ってはいけないのかなど、適切な指導を受けることをお勧めします。

弁護士への依頼は、被疑者自身でも家族でも大丈夫

もし知り合いに弁護士がいて、被疑者自身で弁護活動をお願いしたい人がいれば、留置場の担当官や取調べを行う捜査官に対し、連絡を取ってもらえるよう依頼します。この際、迅速に連絡を取ってもらえるのかどうかは分かりませんが、弁護士を呼ぶことは憲法で定められて法令でも規定されている国民の権利です。

憲法
第三十四条 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

知り合いに弁護士がいなければ、一回だけ無料で呼べる当番弁護士制度を利用して、弁護士を呼んでもらうようにしましょう。弁護士に依頼する方法は、被疑者本人が警察を介して連絡を取るだけではなく、家族や友人・知人が弁護士に依頼をすることも可能です。

とにかく、非常に重要な初期の取調べに、弁護士のアドバイスを受けてから臨めるように、少しでも早く依頼することをお勧めします。

逮捕期間中、弁護士は被疑者唯一の連絡手段

連絡に必要な時間や、呼ばれてから駆けつけるまでの時間が必要であるとはいえ、原則として逮捕されてすぐに被疑者は弁護士に面会することができます。弁護士に会って適切なアドバイスをもらうまでは、取調べにおいては事件に関する事項は喋らないことをお勧めします。

特に供述調書に署名押印してしまうと、それが後の裁判において重要な証拠になってしまうので注意が必要です。また、刑事事件の被疑者として警察や検察などの捜査機関に逮捕されてしまった場合、基本的には逮捕後の勾留が決定するまで、家族や友人・知人が接見と呼ばれる面会をすることは難しいとされています。これは法令で定められているわけではありませんが、捜査機関の判断による慣習と言えるものです。

逮捕には警察で48時間、検察で24時間、合計72時間というタイムリミットがあります。そのため、逮捕後すぐに捜査機関は被疑者に対して徹底した取調べを行いたいという目論見があり、被疑者の家族や友人・知人が接見に来て、取調べが中断されるのを嫌うのも当然かもしれません。

単純で軽微な犯罪の事件で、被疑者自身も罪を認めているような場合は、担当捜査官の裁量で逮捕中でも家族であれば接見を認めることもあるようですが、慣習として勾留決定前の逮捕期間中は、家族や友人・知人の接見は不可能だと思っていた方がいいでしょう。そんな状況でも、警察の取調べを中断させて接見できるのが弁護士なのです。

接見禁止でも弁護士は被疑者に会える

逮捕され身柄が拘束されている被疑者・被告人に下される措置で接見禁止というものがあります。これは勾留と同様に裁判所が許可をする措置ですが、文字通り家族や友人・知人との接見を禁止するもので、この接見禁止を受けてしまうと、単に接見が禁じられるだけでなく、手紙のやり取りや新聞や雑誌などの差し入れも、被疑者・被告人が釈放されるまで受け取れなくなってしまうのです。

接見禁止の目的は、組織的犯罪や共犯者がいると考えられる被疑者・被告人が、外部と連絡を取って証拠隠滅の依頼や証言に関する口裏合わせを防止するということです。実際の刑事手続きの現場では、容疑を否認している被疑者に対して、外部との連絡を絶って追い詰めるのが目的で使われることも珍しくはないとされています。しかし弁護士は、接見禁止状態の被疑者・被告人にも接見できます。

いかなる場合でも、被疑者が拒否しない限り、弁護士は被疑者と接見することができますから、家族や友人・知人が弁護士に依頼し、被疑者・被告人がどういう状態なのかを教えて欲しいと頼むことが可能です。

弁護士の接見はいつでも、どれだけでも

被疑者・被告人との接見をする場合、家族や友人・知人の場合はいくつかの制限があります。

場所によって詳細は違いますが、留置場や拘置所には接見ができる時間帯が決められており、多くの刑事施設で接見が可能なのは平日の昼間だけで、一人の被疑者が外部の人と接見できるのは1日1回が通例となっています。また1度に接見室に入れる人数にも最大3人までといった規制がある上に、接見中は警察官や刑務官の立ち会いがあり、会話の内容によっては接見が中止されてしまうこともあります。

一方、弁護士の接見は時間に制限や制約はありません。夜間であろうが休日であろうが、必要であれば弁護士は被疑者・被告人と接見することが認められていますし、立会人なしの2人きりで話をすることができます。弁護士は家族や友人・知人に比べて自由度の高い接見ができますので、自由を奪われている被疑者・被告人にとって、外部との連絡を依頼するには最適だと言えるでしょう。

特に接見禁止措置がされている場合、外部との連絡窓口は弁護士だけです。もちろん証拠隠滅の依頼や、口裏合わせといった伝言は弁護士により却下されますが、それでもたいていの伝言は受けてくれますし、家族限定の接見禁止一部解除申請も依頼すれば手続きをしてくれます。

逮捕されてしまったら、まず弁護士に相談を

弁護士は外部との連絡以外にも、身柄を拘束されている被疑者・被告人に代わって、被疑者の一般社会での諸手続きを代行してくれることもあります。たとえば被疑者・被告人のキャッシュカードで現金を下ろして差し入れたり、支払いをしたりしてもらうなどといったことも受ける弁護士がいます。

この辺りの対応は弁護士によって違いますので、すべての弁護士が代行してくれるとは限りませんが、身柄を拘束され、家族が近くに住んでおらず、気軽に諸手続を頼める相手がいない場合も、弁護士は頼れる存在になります。

被疑者の権利を守り、非常に大切な逮捕直後の期間を知識なしで過ごしてしまわないために、逮捕されてしまったらまず弁護士に相談することをお勧めします。

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