性的同意をハッキリ取るのは約半数!男女320人に聞く性的同意・セクハラ認識に関する行動・意識調査

性的同意ハッキリ取るのは約半数!20〜50代男女320人に聞く性的同意の現状とセクハラ認識に関する意識調査
不同意わいせつ罪・不同意性交等罪が疑われ、警察や裁判所等が犯罪か否かを判断する際、性的同意の有無(性的行為に至る事前に相手の同意があったかどうか)は大きな焦点となります。

今回、刑事事件弁護士相談広場では、結婚している または 恋人やパートナーがいて、過去2年以内に性交渉を行なったことのある20代~50代の男女 計320人を対象にアンケート調査を実施しました。

2023年の性犯罪関連法の改正以降、性的同意のない性的行為に対する法的および社会的リスクが増大する中、一般の方は性的同意をどのくらい、どのような形で行なっているのでしょうか。

日常における性的同意・セクハラ行為に対する意識調査

  • 実施:刑事事件弁護士相談広場 編集部
  • 回答方法:Webアンケート調査
  • 調査日時:2025年2月19日 ~21日
  • 調査対象・回答者数:結婚している または 恋人やパートナーがいて、過去2年以内に性交渉を行なったことのある男女 計320人(20代~50代の世代別・男女 それぞれ40人)

※本調査内容及びグラフはご自由にご利用いただけます。ただし、転載・ご利用の際は、出典元に「刑事事件弁護士相談広場」( https://www.keijihiroba.com/ )を記載のうえご利用ください。


性的行為の際、約半数は相手とハッキリした性的同意を取らず

はじめに、配偶者・恋人・パートナーのいる一般の方が、性的な行為を行う際、性的同意を行なっているか、また行なっている方はどのような形で行なっているかを質問。20代~50代男女それぞれ性的同意の実施状況の実態を確認しました。

Q1:恋人や配偶者と性的な行為を行う際、相手の同意を取っていますか?

Q1:恋人や配偶者と性的な行為を行う際、相手の同意を取っていますか?

メールやLINE、アプリなどで明示的に事前確認している方が全体の15.63%。口頭で同意を取る方が30.94%。

言葉にはあまりしない。態度で確認する と、ハッキリした同意を取らずに行なっている方が32.19%、そもそも特に同意を取らない方が 21.25%。

全体でみると、文字や言葉で明確に性的同意の確認を取る方は46.57%にとどまりました。
残り53.44%、既婚者および恋人・パートナーのいる方の半数以上は、性的な行為を行う際に、ハッキリした相手の同意を取っていないという結果となった。

ハッキリ性的同意の確認を行なっている男性は56.3%

この結果を男女別に見たものが以下のグラフです。

Q1:恋人や配偶者と性的な行為を行う際、相手の同意を取っていますか?(男女別集計)

男女別で見ると、ハッキリとした形で性的同意を取る方の割合は、男性が56.3%、女性が36.9%となりました。

女性は男性よりハッキリした同意を取らない傾向

数字だけで見ると、性的な行為に際して、女性は男性よりもハッキリした同意を取らない傾向が読み取れます。

ただし、旧来からの日本の性役割として、性的行為は女性からより男性からもちかけるケースの方が多いであろうことは推測できます。そもそも女性が性的同意を取る場面が少なく、男性側が同意を取ることが多い形に機会そのものが偏っている可能性はあるでしょう。

性的同意に対する意識は若い年代ほど強い

Q1:恋人や配偶者と性的な行為を行う際、相手の同意を取っていますか?(年代別集計)

年代別で見ると、20代が「メールやLINE・アプリなどで事前確認 22.5%」「口頭で同意を取る37.5%」合計6割の方がハッキリとした性的同意を行なっている一方、50代はこの合計が約半数程度の31.3%にとどまりました。

性的同意をハッキリ取る人の割合は50代を最低に、年代が下がるに連れて増加しており、若い世代ほど、相手に性的同意を取る必要性への理解があり、意識が強いことがわかります。

相手の不同意で性的な行為をやめた経験、男性で約6割

続いて、相手からの不同意を受けて性的行為を取りやめた経験があるかを質問しました。
この質問は、配偶者・恋人・パートナーに対する性的同意を確認する行為が、どれだけ有効に機能しているかを図る指標として調査を行なったものです。

Q2:過去に相手の同意が得られず、性的な行為をやめたことはありますか?

Q2:過去に相手の同意が得られず、性的な行為をやめたことはありますか?

相手に同意を得られなかった=不同意の意思を示されたことで「性的な行為をやめたことがある」人は43.75%。
男女含めた全体で見ると、相手の不同意を理由に性的行為をやめた経験があるのは4割強程度となりました。

相手の不同意で性的な行為をやめた経験がない人は 56.25%となりました。

相手の不同意で性的行為をやめた経験は男女で大きな割合の差

Q2:過去に相手の同意が得られず、性的な行為をやめたことはありますか?(男女別比較)
男女別で見ると、相手の不同意により性的な行為をやめた経験がある男性は半数超の57.5%、残り42.5%は経験なしと回答しました。

一方、相手の不同意で性的な行為をやめた経験がある女性は30.0%にとどまり、7割の方が経験なしとなりました。

男女で割合に差があるのは、

  • 日本では女性の側から男性に対して性的同意を取る機会がやや少ない
  • 女性が性的同意を持ちかけた場合も、男性に断られることはあまりない

など、女性が男性からの不同意で拒否反応を受ける機会が少ない点も影響しているものと考えられます。

男女のセクハラ認識、身体接触を伴う行動に大きな差

性的行動の認識について男女による認識の差を把握するため、一般的にセクハラとみなされ得ると言われる各種行動について、セクハラに感じるかどうか意識調査を行いました。

各行動についてそれぞれ「セクハラに感じる/やや感じる/あまり感じない/セクハラには感じない」の4段階から回答してもらい、男女両者の認識の違いを比較しました。

Q3:以下にあげる項目を他人にやられた場合、あなたはセクハラに感じますか?

セクハラに感じる行動ランキング 男女比較

18の設問項目中、女性から見て最多となったのは「静的な画像・動画を見せる(70.6%)」、次いで「不意にハグをする(65%)」、「お酒の席で腕を組む、手をつなぐ、身体にふれる(60%)」と続きました。
全体に、肩や身体などでも身体接触を含む行動は、男性に比べ女性の方が「セクハラ」と認識する人が多くなる様子が見られます。

逆に、男性は「断られても何度も食事やデートに誘う」「冗談で性的なジョークを言う」「スマートフォンで個人的にメッセージを送る」など、相手とのコミュニケーション上の「迷惑行為」についてセクハラと認識する傾向が強く、女性よりも高い値を示しました。

男性側に自覚なく、女性にセクハラと感じさせているケースも

なお、男女で「セクハラに感じる」の割合の差が最も大きかったトップ3は

  1. 性的な画像・動画を見せる(男女差13.8%)
  2. 相手の身体をじっと見つめる(男女差 9.4%)
  3. お酒の席で腕を組む、手をつなぐ、身体にふれる(男女差8.1%)

となりました。

宴席などいわゆる「無礼講の場」や男女で対面する場の流れの中の行動で男性からすればセクハラの自覚がない行動でも、女性にセクハラと認識されているケースが多々あることがわかります。

もし不同意わいせつ・不同意性交を主張されたら……半数以上が「自分の責任を認めず」

もしあなたが、ある日突然「不同意わいせつ」「不同意性交」の罪を問われたら、どう対応しますか?

近年、芸能人やタレント、スポーツ選手の事例が度々メディアやSNSに取り上げられる「不同意わいせつ」「不同意性交」を巡る男女トラブル。
20代~50代男女の一般的な感覚を把握する目的で、「もし自分が不同意●●の当事者となったら、どう感じるか」意見調査を行ないました。

Q4:もし、あなたが過去に性的な関係を持った相手から、突然「不同意わいせつ」や「不同意性交」を主張され、訴訟や慰謝料請求を行われた場合、どのように対応しますか?

過去に性的な関係を持った相手から突然「不同意わいせつ」「不同意性交」を主張された場合、どう対応する?

回答によると、責任がなく無実を主張する人が40%、相手の主張を不当とし反訴や損害賠償請求を行うと答えた人が12.81%。
合計して「自身の責任を認めない人」が52.81%と半数を越えることがわかりました。

一方、双方の責任割合を協議する人が38.75%、自分の責任を認めると答えた人が8.44%と、自身のある程度の責任を認める人は合計 47.19%となりました。

男性でも女性でも、半数以上は「責任認めない」反応

過去に性的な関係を持った相手から突然「不同意わいせつ」「不同意性交」を主張された場合、どう対応する?(男女別集計)
男女別で見ると、男性は合計で55.7%の人が、自分の責任を認めないと回答しました。
女性の場合、自分の責任を認めない人・認める人 両者が合計50%ずつで、ちょうど半々ずつとなりました。

あくまで仮定の質問に対する回答である点は差し引いて考える必要があるものの、万一、ある日突然、過去の不同意わいせつ・不同意性交を問われた場合、男性でも女性でも半数以上は「責任を認めない方向に考える」という意見を持つことがわかりました。

20代のみ自分の責任を考慮する傾向

過去に性的な関係を持った相手から突然「不同意わいせつ」「不同意性交」を主張された場合、どう対応する?(年代別集計)
年代別で見ると、30代~50代はすべての年代で「自分の責任を認めない」回答をする人が50%を越えました。

一方で、20代はこの値が36.3%、「自分の責任を認めない」人は1/3程度の少数派に留まりました。63.8%の方はある程度自分の責任を認める回答を行ないました。

アンケート結果に見る、性的同意・セクハラ行動に対する意識

約半数の人が性的同意を取っていない現状

今回の調査で、恋人や配偶者と性的な行為をする際、約半数の人はハッキリとした形の性的同意を取っていないことがわかりました。
2023年の性犯罪関連法の改正により「性的同意」の重要性が注目されるようになった一方で、実際の社会にはまだその意識が十分に広がっていないのが現状です。

その背景には、日本社会における「性に関する価値観」が関係しています。昔から「男性が主導権を持つもの」という考え方が根強く、また、日本特有の「察する文化」も影響しているでしょう。

こうした要因などから、性的行為をする際に相手へときちんと同意確認を取ることが当前になっていないことが、今回の調査結果につながったものと考えられます。

若い世代と中高年世代の意識の違い

また、今回のアンケートでは、性的同意の必要性理解や性的行為に対する責任感覚には、20代世代と30代~50代世代の間で大きなギャップがある様子が確認されました。

20代あたりの若い世代は、学校教育やSNS、ニュースなどを通じ、多くの性的トラブルのリスクを見聞きしてきた結果、配偶者や恋人同士といった関係においても人権やコンプライアンス(法令遵守)に対する意識が高まっています。そのため「性的同意を取らないことにはリスクがある」と理解し、しっかり確認する人が多い傾向にあります。

一方、中高年世代は「自分たちの時代はこうだった」と過去の経験則もある分、どうしても日本の伝統的な性の価値観の影響を強く受けます。そのため、性的同意の重要性を理解しにくかったり、過去の行動に対して自分の責任を認めにくい傾向が見られます。

これからの男性・女性に求められるアクション

性的同意の必要性が広く認識されつつある今、年齢・年代を問わず、すべての世代・性別の方が「相手と理解し合うことが大切」という、性的行為を行う際の基本的な価値観を理解、意識して行動していくことが重要です。

性的行為に際して男性に求められること

  • 「相手が拒否しなかったからOK」と判断せず、言葉や文字で明確に同意を確認する。
  • 相手が嫌がっていないか、相手の気持ちを尊重する。

性的行為に際して女性に求められること

  • 相手からの性的同意に対して、自分の意思をはっきり伝える。
  • 「察してほしい」「雰囲気で伝わるはず」と思わず、きちんとNOを言う。

特に男性は、旧来からある日本の男女観の影響もあり「女性は自分から性的同意のアクションを起こしづらい」状況があり得ることは、あらかじめ認識しておく必要があるでしょう。

性的な事柄について、男性と女性で捉え方が多々異なってくる点は、今回の調査結果を見ても明らか。
どんなに親密な間柄だとしても、互いに違う考え・感じ方を持つ別人である以上、両者のギャップを埋めるための話し合うことは非常に大切です。

デリケートな話題だからこそ、パートナーときちんと向き合う。今後の男女間コミュニケーションでは、互いに万一のトラブル発生を防ぐため「性的同意」について話しあう姿勢が、世代・年齢・性別問わず重要となるでしょう。

まとめ

  • 性的行為の際、約半数は相手とハッキリした性的同意を取らず
  • ハッキリ性的同意の確認を行なう男性は56.3%と半数強
  • 女性は男性よりハッキリした同意を取らない傾向
  • 性的同意に対する意識は若い年代ほど強い
  • 相手の不同意で性的な行為をやめた経験、男性で約6割
  • 男女のセクハラ認識、身体接触を伴う行動に大きな差
  • もし不同意わいせつ・不同意性交を主張されたら、半数以上は「自分の責任を認めず」
  • 男女問わず、半数以上が「自分の責任を認めない」考えを示す
  • 自分の責任を認めない人は30~50代で50%越え、20代のみ36.3%と少数派に

性的な行為に際した性的同意に対する認識は年代や性別によっても大きく異なり、実際の行動にも差が見られます。特に、中高年層や女性の間では性的同意を明確に取る意識が相対的に低いことが調査結果から明らかとなりました。

こうした年代や性別、それぞれの立場ごとの意識のギャップが、誰も望まない形で「不同意性交」「不同意わいせつ」を巡る深刻なトラブルを生む可能性があります。

万一、過去~現在の配偶者・恋人・パートナー等との間で性的なトラブルが発生したり、巻き込まれた場合は、自分だけで解決しようとするのは決して得策ではありません。
あなた自身の家庭・家族や社会生活への影響を最小限に抑えるためにも、性的同意を巡るトラブル、不同意性交等罪・不同意わいせつ罪などの問題に巻き込まれた場合は、なるべく速やかな弁護士への相談をおすすめします。

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