サイコパス(精神病質者)の特徴とは?犯罪者とは限らない意外に身近な障害

仮面をかぶる男

サイコパス(精神病質者)とは?

サイコパスとは、診断上は「反社会性パーソナリティ障害」に分類されるパーソナリティ障害のことです。精神医学の用語で、英語表記は psychopath となります。

そもそもパーソナリティ障害は認知や感情、行動や対人関係の築き方が著しく一般的な人と異なるため、日常生活で苦痛を感じたり、社会に適応できなくなったりする障害で、当人やその周りの人に精神的苦痛をもたらす可能性があるものです。

なかでも反社会性パーソナリティ障害は社会のルールに無頓着で、他人を利用したり傷つけたりすることに罪悪感を持たない障害で、場合によっては本人や周りの人の生活に大きな悪影響を与える可能性があります。

サイコパスの特徴

反社会性パーソナリティ障害発症の原因はよくわかっていませんが、先天性(遺伝)、後天性(生育環境など)、どちらの要素も影響するといわれています。最近では、脳にサイコパス特有の変化がある、という研究結果も出ているようです。

人間誰しもサイコパス的な特徴を多少なりとも有しているものですが、これらの特徴が際だっている場合に「反社会性パーソナリティ障害」という診断が下されることになります。

サイコパスについてはいまだわかっていないことも多いのですが、一般的にいわれるサイコパスの特徴としては、次のようなものがあげられます。

  • 窃盗などの違法行為を繰り返すことがある
  • 自信にあふれ、魅力的に見える
  • 他人に対して共感する気持ちが持てない
  • 人を支配する
  • 平然とうそをつく
  • 衝動的に行動する
  • 他人を責める
  • 無責任である
  • 自己中心的である
  • 良心が欠如している
  • 恐怖や不安を感じない

窃盗などの違法行為を繰り返すことがある

衝動的、刺激を求める、「社会のルールを守る」という意識も希薄、という特徴から窃盗や危険運転といった違法行為を繰り返すことがあります。

自信にあふれ、魅力的に見える

サイコパスは自信過剰な傾向があり、また雄弁です。口がうまく、自信にあふれているため魅力的に見えます。第一印象がすばらしくよく見える人が実はサイコパスだった、ということもしばしばよくあります。

他人に対して共感する気持ちが持てない

サイコパスは人の気持ちを読むことに長けていますが、他人の気持ちに共感することができません。そのため自分の利益のために他人を利用することも平然とできます。

人を支配する

サイコパスは巧みにアメとムチを使い分け、人を巧みに支配します。べた褒めしたと思ったら激しくなじるなどの行動により、他人を振り回し、自分の思うとおりにコントロールしていきます。

平然とうそをつく

サイコパスはうそをつくことに抵抗がありません。巧みにうそをつき、もしバレたときでも堂々と振る舞うことができます。

衝動的に行動する

サイコパスは刺激を求め、自分の欲望をコントロールできないため衝動的に振る舞う傾向があります。ただ、社会でうまくやっているサイコパスの人の場合は、衝動性が弱く、冷静に振る舞えるタイプが多いようです。

他人を責める

自分が起こした行動の結果について責任を感じることはなく、何か良くない結果が起きたときは他人のせいにします。

無責任である

サイコパスは仕事、人間関係などについて、極端に無責任な傾向があります。そのため、仕事が続かない、継続的な人間関係が築けないなどの弊害が生じることも多いです。性的に奔放な人も多く、異性関係も長続きしにくい傾向があります。

自己中心的である

サイコパスは自分の損得を基準に物事を判断し、自己中心的に振る舞います。良心も欠如しているので、自分の利益のため、自分の欲望を満たすためであればいかなる行動も辞さないところがあります。

自分の仲間と認めた人に対しては献身的な行動をとることもありますが、それは長い目で見れば、そういう振る舞いをする方が結果的に自分の得になることがわかっているからです。

良心が欠如している

サイコパスは社会のルールを守ろうという意識に乏しい傾向があります。自分のせいで他人に迷惑をかけても気にしません。「これをしてはいけない」という社会的・倫理的規範をあっさり乗り越えてしまいます。もしルールを破って誰かを傷つけることになったとしても、それを正当化します。その代わり、既存の枠にとらわれずに大胆に行動できることから、新しいビジネスで成功をおさめられるケースもあります。

恐怖や不安を感じない

サイコパスは恐怖や不安を感じる力が弱い傾向があるといわれています。リスクが高い行動も平然ととれますし、危険が迫る環境でも冷静に行動できます。ギャンブルや投資でもハイリスクハイリターンな行動を好むタイプです。

犯罪者にサイコパスは多い?

サイコパスというとドラマなどのイメージから、犯罪者というイメージを持つ人もいるかもしれません。

従来のDSMの基準を用いた調査によれば、一般的な有病率は0.2~3.3%とされています。

ただし、アルコール使用障害のある人、物質乱用外来に来ている人、刑務所にいる人に限定すれば、一般的な有病率をはるかに上回るというデータもあるようです。

それでも一般的な有病率から考えると、日本国内だけでも100万人を超えるサイコパスがいる計算になります。

サイコパスは犯罪者に限らない。さまざまなタイプがいる

したがって、必ずしもサイコパスが犯罪者とは限りません。

サイコパスにもさまざまなタイプがいます。衝動的で反社会的・粗暴な行動をとりやすいタイプがいる一方、冷静な判断力に優れているタイプもいます。

後者のタイプは犯罪者となることなく、社会と折り合いをつけてうまく生きている人たちです。むしろ、こうしたタイプのサイコパスが大半といえるでしょう。

リスクを恐れない、冷徹な決断ができる、行動的であるといった特性をいかして、経営者などの仕事で成功している人も少なくありません。実際、社会的・経済ステータスが高い人にはサイコパス度が高い人が多いというデータもあります。

サイコパスは治療できるのか

「サイコパスが治療できるのか」という点については、医師・研究者の間でも争いがあるところです。認知行動療法によって、反社会的な行動を抑える試みなどが行われています。

もし周りの人がサイコパスかもしれないと思ったら

サイコパスの特徴を持つ人間は意外とたくさんいるものです。ただ、サイコパスは自分の利益のために他人を振り回す傾向があります。

仕事やプライベートでサイコパスかもしれない人間に出会ってしまった場合、周囲の人間としては大変な思いをするかもしれません。

人の感情を読むのに長けたサイコパスにいいように利用されてしまう可能性もあります。

  • 人を見下したり、脅したりして自分の思うとおりにコントロールしようとする
  • うそをつくのがうまく、呼吸をするようにうそをついて自分をよく見せようとする
  • 他人を犠牲にしてでも自分の利益を追求するところがある
  • プレゼンだけはやたらとうまい
  • 相手を利益で釣ろうとする
  • 人が弱みを見せると、そのスキにつけ込もうとする
  • 打算的に人とつきあい、相手に利用価値がなくなると容赦なく切り捨てる
  • 何かあるとすぐに他人に責任を押しつけ、自分の非を認められない
  • 一見愛想良く魅力的に見えるが、深くつきあうと「あれ?」と思わされることが多い
  • 人間や社会を信じていない旨の発言を繰り返す

こういったサイコパスの特徴にあてはまる人が身近にいたら、そっと距離をとってみてもよいかもしれません。

まとめ

サイコパス(精神病質者)イコール犯罪者とは限らない

映画やドラマの影響で、犯罪と結びつく形で語られやすいサイコパスですが、サイコパス、イコール犯罪者というわけではありません。

むしろ、大胆でリスクを恐れないという特性をいかして社会的・経済的成功をおさめている人もたくさんいます。

ただ、サイコパスは相手を巧妙に支配する傾向があることから、つきあい方が難しいところがあるのも事実です。カモとしてうまく利用され、相手の言動に振り回されてしまう可能性もあります。

職場やプライベートの場でサイコパスの疑いのある人に出会ったら、うまく距離をとるようにしましょう。

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