盗撮の罪の時効は何年?刑事・民事で時効期間に違いはある?
- 2024年7月16日
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盗撮事件に時効はある?
盗撮事件にかかわらず、基本的に罪を犯してしまうと刑事事件・民事事件の両面で問題となる可能性があります。
犯罪が起きた場合に、いつまでも捜査がはじまらず時間がどんどんと経過してしまっては証拠を集めることが困難になりますし、これでは真実を発見することが難しくなってしまいます。また、長期間経過すると、事件の社会的な影響も少なくなりますし、もはや有罪・無罪を明らかにする必要性も少なくなってしまいます。
そのため、犯罪の1つである盗撮についても、時効が関係してきます。そこで、今回は盗撮事件をめぐる時効を、刑事・民事の両方について、説明していきます。
刑事事件での盗撮の時効
まず、刑事事件に関する時効について説明します。盗撮事件をおこしたとしても、永遠に事件が捜査線上に乗り続けるわけではありません。一定期間の経過をもって、刑事手続に進めなくなります。この期間のことを、時効と呼びます。
ただし、犯罪の種類によって、この期間はそれぞれ異なります。盗撮事件の場合には、主に軽犯罪法違反と迷惑防止条例違反の2種類がありますので、時効についてもそれぞれ解説します。
軽犯罪法違反の場合の時効
盗撮事件の中には、軽犯罪法違反として検挙されるものがあります。迷惑防止条例違反では処罰されない範囲の盗撮事件、公共の場所以外でされた盗撮事件は、軽犯罪法の「のぞき」を禁止する規定に違反するとして逮捕されます。
軽犯罪法違反の場合、科されるものとして規定されている刑罰は、拘留または科料です。そして、法律で「拘留または科料」が規定されている犯罪については、時効は1年と定められています。
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迷惑防止条例違反の場合の時効
盗撮事件の場合、軽犯罪法違反として処罰されるもののほかに、迷惑防止条例違反として検挙されるものがあります。都道府県によって規制範囲は異なりますが、公共の場所で行われた盗撮事件は、通常迷惑防止条例違反として逮捕されることになります。
迷惑防止条例違反の場合、想定される刑罰は1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。もちろん、都道府県によって上限に差異はあります。ただ、いずれにしても、法律で「長期5年未満の自由刑または罰金にあたる罪」については、時効は3年と定められています。
時効はどこから計算される?
軽犯罪法違反であれば1年、迷惑防止条例違反であれば3年で時効になりました。
では、どの時点から期間を計算しはじめるのでしょうか?刑事事件の場合は、「犯罪行為が終わった時」から、時効のための期間を計算するとされています。つまり、盗撮事件の場合には、まさに盗撮行為が終わった瞬間、撮影行為が終わった時から、時効期間が開始することになります。
刑事で時効が完成するとどうなる?
盗撮事件をおこしても、1年もしくは3年が経過した場合、時効が完成することになります。時効が完成すると、検察官はもはやこの事件で被疑者を起訴することはできなくなります。
したがって、もはや有罪として処理される可能性がなくなるので、警察に逮捕されることもありません。
告訴するのに時間制限はあるのか?
ところで、盗撮された被害者が捜査機関に告訴するのに時間制限はあるのでしょうか?
被害者が捜査機関に対して、盗撮事件があったこと、そして、これを捜査して訴追して欲しいという意思表示をすることを告訴と言います。実は、親告罪という種類の犯罪については、告訴できる期間が制限されており、「犯人を知った日から6ヶ月以内」に告訴しなければならないとされています。ただし、盗撮事件は親告罪ではありません。そのため、盗撮事件の被害者はいつでも告訴することができます。
ただし、盗撮事件自体の公訴時効が1年か3年であると定められているので、この期間を過ぎてからの告訴は実質的な意味をもつことはありません。また、事件が判明してから検察官が起訴処分を下すまでは、捜査をして証拠を集めて有罪判決を獲得できるだけの充分な足固めが必要ですので、ある程度の時間的な余裕をもって告訴しなければいけなくなります。
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民事での盗撮の時効
盗撮事件をおこすと、警察に逮捕されて諸々の手続のために取調べをされたり、身柄を拘束されたりすることになります。
これらは全て刑事手続で、盗撮事件をおこした犯人と国家との問題でしかありません。刑事手続上では、被害者は「被害者」として一定の配慮をされますが、刑事手続上の当事者になることはありません。有罪か無罪か、起訴か不起訴か。この判断は全て、刑事手続の中でされることです。
盗撮をおこした場合、このような刑罰以外に、民事的な問題が発生します。盗撮行為は民事上の不法行為に該当します。盗撮行為によって被害者に精神上の損害を与えたことになりますので、これを賠償しなければいけません。
民事上の損害賠償にも時効がある
盗撮事件をおこして被害者が心の傷を負ったとしても、加害者はいつまでも損害賠償を請求されうる状態にあるわけではありません。被害者が損害賠償を請求するのは、被害者に認められた権利です。本来権利は権利をもっている人が好きにしてよいものですが、いつまでも権利を行使しないという状態はさすがに尊重されるものではありません。
加害者側も、いつ損害賠償を請求されるのかと、いつまでもハラハラしなければいけません。したがって、民事上、不法行為を原因とする損害賠償請求権も、消滅時効にかかることになります。
時効にかかるための期間は?
民法上、不法行為に基づく損害賠償請求については、被害者が、損害及び加害者を知った時から3年間行使しない時は、時効によって消滅すると定められています。ここで注意しなければいけないのは2点です。
一つ目は、起算点についてです。刑事手続の場合、盗撮行為が終了した時点から3年間の期間制限がスタートしました。これに対して、民事については、「被害者が、損害及び加害者を知った時」とされています。つまり、盗撮行為が終了した時点とはズレが生じるということです。
電車内で盗撮されて、その場で犯人が現行犯逮捕されたような場合だと、刑事と民事とでは時効の起算点にズレはほとんど生まれません。しかし、たとえば、今回盗撮事件で逮捕された盗撮犯の2年前の余罪が発覚し、2年前の事件の被害者が今になって盗撮事件の被害にあったことを知ったようなケースでは差異が生まれます。
この場合、刑事手続の時効については、既に2年が経過しているので、時効が完成するまでは残り1年しかありません。しかし、民事上の損害賠償請求権に関しては、この時点で「被害者が、盗撮された損害及び、加害者を知った」と言えるので、盗撮された事実を知った「今」が起算点となります。
二つ目は、不法行為による損害賠償請求権の消滅時効は、全て3年と統一されている点です。刑事上は、どの法律に違反するのかによって、1年と3年の区別がされていました。しかし、民事上はこのような区別はされません。盗撮行為によって被害者が心の傷を負ったのは事実ですし、それは刑事上のどの法律に違反したかは関係がないからです。
ちなみに、民法上、不法行為の時点から20年を経過すると、不法行為を理由とした損害賠償請求はできないと規定されています。つまり、盗撮事件から20年の時間が過ぎると、当然に損害賠償請求はできなくなります。
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盗撮事件で逮捕される可能性があるときは弁護士に相談!
盗撮事件が起きた場合、刑事事件・民事事件、いずれでも時効が問題となりうるということをお分かり頂けたと思います。これは被害者・加害者共に気にしなければいけないことです。現在逮捕されるに至っていない加害者としては、思い当たる節があるのならば、事件からどれくらいの期間、捜査機関に露見しなければ罪に問われることがなくなるのかが心配になるでしょう。
過去、盗撮事件を起こしており、逮捕される可能性があると思う方は、まずは弁護士に相談して、時効にかかっていないのか等を相談してみることをおすすめします。弁護士には守秘義務がありますので、相談したことによって通報されて逮捕されるようなことはありません。
逮捕される前に弁護士へ相談しておくことはとても重要になりますので、なるべく早く盗撮事件に強い弁護士に相談することをおすすめします。
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