警察からの呼び出しに応じないとどうなる?参考人として逮捕される?

電話を受ける男性

警察からの呼び出しに応じると逮捕される?

警察など捜査機関が捜査をする場合、わざわざその進捗など、情報を公開することはありません。重大事件では逮捕時点で報道されたりすることもありますが、具体的にどのような捜査が行われているのかは知ることはできません。
たとえば、警察から呼び出された場合、それがどのような理由で行われ、どのような意図があるのか、一般人がその詳細に知ることはできません。そのため呼び出しを受けると不安を感じることになるでしょう。そこで、このページでは警察からの呼び出しをされる理由や応じた場合どうなるのか解説し、どのように対処すべきか、ということを紹介していきます。

電話で、自宅に訪問で…警察からの呼び出しは突然やって来る

警察からの呼び出しの方法に決まりはありません。電話にて、「〇月〇日に△△警察署に来てください。」と言われることもあれば、突然自宅に警察がやってきて「任意同行してください。」などと言われることもあります。

手法に関しては色々とありますが、いずれにしても任意の出頭であるという点には違いがありません。そして任意の出頭においては、その後必ず逮捕をされてしまうということが決まってはいません。
少なくとも手続上、逮捕をすることが決まっているわけではありませんので、警察に呼び出されるイコール逮捕と考える必要はありません。ただ、絶対に逮捕をされないわけではありませんので注意が必要です。

後述するように、呼び出しの内容が「参考人として来てください。」ということであれば数回呼ばれて終わりということも珍しくありませんが、重要参考人や被疑者として呼ばれたときには逮捕をされる可能性がないとも言えません。
この違いを理解するためには、なぜ呼び出しが行われるのか、ということを知っておくことが大切です。次項ではその理由および理由の違いによる流れなども解説していきます。

警察からの呼び出しの理由

警察からの呼び出しを受ける場合、「参考人」として呼ばれるケース、「被疑者」として呼ばれるケースがあります。それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。

参考人としての呼び出し

参考人とは、事件に関して何か情報を持っている人のことを言います。つまり、何か罪を犯したのではないかと疑われているわけではなく、捜査に協力してほしいということで呼ばれる人になります。たとえば、目撃者や被害者、被疑者の知り合いなどがこれに該当します。

参考人はほぼ逮捕されないが、重要参考人は別

参考人として呼ばれる場合、これに応じて警察署に行った後に逮捕されるということはほぼないと言えるでしょう。
ただし、参考人でも「重要参考人」としての呼び出しであれば逮捕される可能性は少し高くなってしまいます。なぜなら、重要参考人とは単に参考人としてより重要な存在ということではなく、参考人としては疑いが強い者を指しているからです。
そのため、事情を聴かれた後、その容疑が固まれば逮捕されるということはあり得るでしょう。

被疑者としての呼び出し

逮捕の可能性が高い被疑者。でも、必ず逮捕されるとは限らない

被疑者は、罪を犯したのではないかと疑われている者を言います。そのため、呼び出し後、逮捕される可能性は参考人より高くなります。
しかし、すでに容疑をかけられているにもかかわらず未だ逮捕されていないことを考慮すれば、証拠が掴めていない、もしくは逮捕の必要性が低い状況であることが考えられます。そうすると、被疑者であるからと言ってほぼ逮捕されるとまでは言えません。

そもそも罪を犯したことが確実視されていたとしても逮捕の有無とは別問題です。
逮捕の要件を満たした場合のみ捉えられるのであって、在宅のまま捜査が継続されるケースも決して珍しくありません。実際、多くの事件では被疑者が在宅のまま捜査が続けられており、そのまま起訴されるということもあるのです。
あくまで逮捕により身体の自由を奪うという行為は限定的な場面に限られているということを覚えておき、疑われている状態で呼び出しに応じたからと言って逮捕されるとは限らないと理解しておきましょう。

警察がはじめから逮捕するつもりで呼び出すケースも

ただ、逮捕をするつもりで呼ばれるイレギュラーなケースがあることも知っておきましょう。すでに逮捕状が出ており、犯人の自宅に捕まえに行くことができる状態であっても、あえて呼び出しとして任意の出頭を求めることがあります。これは警察等が直接訪問した場合、暴れて周囲に大きな迷惑をかけてしまうことが想定されるケースなど、特殊な事情がある場合に起こり得ます。

他には、逮捕後の時間を効率的に利用するために呼び出しをすることもあるでしょう。逮捕をした場合には警察にて最大48時間、検察にて24時間しか拘束をできない制約が設けられています。その後は勾留請求をしてさらに長い期間拘束ができるようになりますが、その後も期間に制約が設けられており、身柄を近くにおいて捜査を続けるのにも限界があります。
そこで、限られた時間を有効に活用するため、まずは任意に出頭をさせて取り調べを行うという手法が採られることがあるのです。そうすればその間は逮捕中の時間に含まれませんし、逮捕後の時間も合わせるとより長い時間捜査ができることになります。

警察からの呼び出しに応じた後の流れ

次に、警察からの呼び出しに応じるとその後どのような流れになるのか説明していきます。

警察で取調べを受ける

まずはやはり取調べを受けることになるでしょう。これは参考人であっても被疑者であったとしても変わりはありません。
取調べを受けること自体罰ではありませんし、調査されるからといって疑われているということでもありません。そのため、目撃者などが警察に呼ばれて取調べを受けることもあります。

取調べにかかる時間は状況にもよりますが、2時間や3時間かかることもよくあります。事件の内容によってはさらに長くなることもありますし、被疑者であればより長い時間取調べを受けることもあります。
ただし、1日に8時間を超えて取調べを行う場合には、原則、警察署長等の承認を受けなければならないなどの配慮もなされています。そのため、基本的には1度の呼び出しで8時間を超えて対応しなければいけないということはないでしょう。
これは取調べを受ける本人が取調べの負担に耐え切れず自白をしてしまうような事態を防ぐという目的もあります。そのため過度な負担がかからないよう、長時間の取り調べだけでなく、深夜に行う取り調べもできるだけ避けるように定められています。

被疑者であれば逮捕されることも

前述の通り、取調べの結果、逮捕されてしまうこともあり得ます。特に、被疑者としての呼び出しを受けてこれに応じた場合には可能性が比較的高くなると言えるでしょう。そうすると、しばらくは自宅に帰ることができなくなりますし、家族とも会えなくなります。

警察に呼び出しをされた段階で弁護士に相談しておくのがおすすめ

逮捕後でも弁護士とは面会することが可能ですので、すぐ弁護士を呼んで対応してもらうようにしなければなりません。おすすめの対応としては、警察に呼び出しをされた段階で、弁護士に事前に相談をしておくことです。
検察のする勾留請求が認められて勾留が決定すると、その後最大20日間拘束が続くことになります。この期間中にも捜査は続き、その後起訴するかどうかが判断されるのです。起訴されると刑事裁判が開かれ、被疑者は「被告人」という立場に変わり裁かれることになります。

呼び出しを拒否するとどうなるのか

呼び出しに応じて逮捕されてしまうケースがあることも説明しました。そこで、次は呼び出しを拒否した場合にどうなってしまうのか解説していきます。

呼び出しの拒否は可能だが、拒否が逮捕リスクを高める可能性も

まず、拒否自体不可能なことではありません。任意の呼び出しであれば本来拒否することも自由です。ただ、拒否によって不利益を被ることがありますので注意が必要です。というのも、警察からの連絡を無視したり、拒否したりしていると怪しまれる可能性があるのです。特に被疑者や重要参考人の場合にはその疑いが強くなることが予想されます。拒否の仕方によっては、逃げてしまうのではないか、証拠を隠そうとするのではないかと疑われ、逮捕をされてしまうことがあります。

一方で、客観的に見て犯人となり得ないと思われるような参考人なら、警察からの呼び出しを拒否しても逮捕されることはないでしょう。
少しでも疑いがあるかどうかによってその後の対応は大きく変わってきます。

警察の呼び出しを受けたときの対応

最後に、警察から呼び出しを受けたときの対応についてまとめていきます。

呼び出しにはできるだけ応じる

単なる目撃者など、参考人であれば拒否をしても問題となることはほぼありませんが、捜査機関側からどのように思われているのか知ることはできませんので、立場がどうであれできるだけ応じたほうが無難と言えます。
被疑者や重要参考人などは特に応じたほうが良いと言えますが、その場合はあらかじめ弁護士に相談をしてアドバイスを受けてから出向くべきです。

不当な取り調べを受けたときには抗議する

呼び出しに応じて取調べを受ける際、不当な扱いを受ける場合があります。たとえば、「自白をするまでここから帰さない」などと言われるようなケースです。
このような事例は頻繁にあるわけではありませんが、実際問題として、不当な取り調べは起こってしまっています。
もともと任意の呼び出しに応じたわけですので、本来は「これ以上応じない」と意思表示をして退室することができるはずです。実質強制的に退室できない状況に置くということは許されません。

そこで、こうした対応をされた場合でも嘘の自白をしてしまうことなく、抗議をしていかなくてはなりません。ただその不当をどのように主張していけばいいのか分からないという方がほとんどかと思います。
そこでこのようなことを避けるためにも、呼び出しを受けた段階で、事前に弁護士への相談・依頼をすることが重要と言えるでしょう。

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警察から呼び出しを受けたら弁護士に相談

逮捕された場合、不当な取り調べを受けた場合には、特に弁護士への相談が欠かせませんが、できるだけこのような対応をされないため、参考人であっても呼び出しを受けた時点で弁護士に相談するようにしましょう。例え、身に覚えがなくても不当な扱いを受けることはありますので、できるだけ事前にアドバイスを得ておき、準備することが大切です。

また、自分が罪を犯したと自覚をしている場合にもその旨打ち明けて弁護士に弁護を依頼するようにしましょう。
弁護士は呼び出しに対するアドバイスに限らず、その後逮捕されてしまったとしても継続してサポートしてもらえます。早期の釈放を得ることができるかもしれませんし、不起訴獲得のための活動もしてくれます。仮に起訴されてしまって刑事裁判が始まったとしても弁護活動をしてくれます。
警察からの呼び出しをされた時点では、その後どうなるのか予測できないことも多くありますので、起こり得るさまざまなパターンに備えておきましょう。

弁護士には、それぞれ多かれ少なかれ得意分野があります。そのため、警察からの呼び出しを受けて、弁護士に相談しようとするときには、「刑事事件に強い弁護士」をしっかりと選んで相談することをおすすめします。

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