加害者向け・刑事事件被害者との示談成功までの流れ
- 2024年7月16日
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刑事事件で加害者が被害者と示談するメリット
刑事事件における示談とは、加害者側と被害者側が話し合いで事件を解決することをいいます。被害者がいる事件の場合は、被害者が受けた損害に対して賠償金を支払い、許しを請うケースも多いです。
刑事事件において、加害者が被害者と示談するメリットとしては、次のようなものが挙げられます。
不起訴になる可能性がある
起訴の判断では、被害者の処罰感情や加害者の反省、被害者が受けた被害の回復状況といった要素も考慮されます。
示談をしたということは、加害者が被害者に対して謝罪や被害の弁償をしたということになります。また、示談成立の際には、被害者から「犯人を処罰しないでほしい」旨の一筆をもらうのが通常です。そのため、示談が成立すると、起訴の判断時に加害者に有利な結論が出やすくなるのです。
特に、名誉毀損罪や器物損壊罪といった親告罪は、被害者の告訴がなければ起訴できません。したがって、被害者が告訴を取り下げた時点で、起訴されるおそれそのものがなくなります。
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刑が軽くなる可能性がある
示談はあくまでも加害者側と被害者側が私的に行うものであり、国が加害者を罰することとはまったく別の問題です。
示談が加害者と被害者という一般市民同士の問題であるのに対し、刑事手続は加害者という一市民と国家の問題であるからです。
示談が成立すると被害者に対する民事上の損害賠償は終わりますが、加害者側・国家間の問題が終わったわけではありません。
したがって、示談が成立した場合であっても、検察官が「起訴が相当」と判断したときには起訴されてしまいます。
しかし、それでも「被害者と示談が成立した」ということは、加害者側にとっては有利な事情として働きます。
加害者に十分な反省が見られる、被害者の処罰感情も薄れている、ということで、刑が軽くなる可能性は残っているといえるでしょう。
被害者から損害賠償をされるおそれがなくなる
被害者のある刑事事件を起こした場合、刑事責任はもちろん、民事上の責任、すなわち被害者への損害賠償責任も問題になります。
示談をするということは、まさに民事上の損害賠償責任を果たすということにほかなりません。
したがって、一度示談が成立した後は、新たに被害者側から損害賠償請求を受けることもなくなります。
被害者と示談交渉を行うタイミングは?
被害者と示談交渉を行う場合、一刻も早く交渉をスタートさせるのがポイントです。
不起訴を獲得するためには、検察が起訴を判断する前に示談をまとめておく必要があるからです。
特に、逮捕され、身柄を拘束されて取り調べを受けている場合は、逮捕~起訴の判断までは1か月もありません。
したがって、なるべく早く示談交渉をまとめる必要があるといえます。
被害者との示談交渉の基本的な流れ
ここでは被害者との示談交渉の流れを簡単に紹介します。
被害者に連絡する
示談交渉を始めるためには、まず被害者に連絡を取る必要があります。
しかし、捜査機関が加害者に被害者の個人情報を直接教えてくれることはありません。そのため、弁護士を通じて被害者と連絡を取ることになります。
被害者と交渉する
被害者が示談に応じてくれた場合、示談交渉に入ります。
被害者側と示談金額や示談条件を提示し、示談成立に向けて話し合います。
示談書を作成する
交渉が成立したら、合意した内容に基づいて示談書を作成します。このとき、取り交わす示談書には「犯人の処罰を望まない」旨の一筆を入れてもらうのが一般的です。
示談書の支払い
示談書を取り交わした後は、速やかに示談金を支払いましょう。
示談書を検察または係属裁判所に提出する
示談書、示談書を支払ったことを証明できる書類を関連する役所に提出します。示談書および関連書類の提出先は起訴前なら検察、起訴後であれば係属裁判所です。
刑事事件における示談書の内容
実際の示談書に具体的に盛り込むべき内容としては、次のようなものがあります。
事件の内容
どの事件に関する示談かどうかがわかるように、事件の内容を記します。
事件が起きた日時・場所、加害者・被害者の名前、被害の内容、損害の金額など具体的に書きましょう。
示談の条件
示談金の金額、支払い方法など賠償金支払いに関する条件を記します。接触禁止、謝罪文の送付といった金銭以外の条件がある場合は、合わせて記載しておきましょう。
宥恕条項
被害者側に「加害者の処罰を望まない」旨の条項を入れてもらうのも一般的です。
清算条項
被害者から二重に損害賠償請求を受けるのを防止するために、示談書に記載された内容以外の損害賠償義務を負わない旨の条項も入れておきましょう。
その他
被害者が告訴を取り下げる「告訴取消」などの条項が入る場合もあります。
日付・サイン
示談書を取り交わした日付、当事者の署名・押印も必要です。
示談交渉が難航しやすいケース
加害者となった方にとって、被害者と示談が成立するかどうかは大きな関心ごとです。
しかし、場合によっては示談交渉そのものが難航してしまうケースもありえます。
示談交渉が難しくなるケースとしては、次のようなものがあります。
被害者の連絡先がわからない
事件の内容によっては、被害者が加害者に自分の個人情報を教えるのを嫌がることもあります。弁護士経由で問い合わせても教えてくれない場合は、示談は難しいといえるでしょう。
被害の内容が深刻である
被害者が死亡してしまった、被害額が大きいなど事件の被害が深刻であるときも示談が難しくなります。被害者の処罰感情も大きいため、示談交渉をしようとすることでかえって被害者側の反発を招いてしまうかもしれません。
法人が被害者になっている
会社などの法人が被害者になっている場合、組織の方針で「示談には一切応じない」というルールになっていることがあります。そうしたケースで示談を成立させるのは難しいといえるでしょう。
複数の被害者がいる
被害者が複数いる場合、一人ひとりの被害者と交渉を続ける必要があります。その分、示談成立までのハードルは高くなると言わざるを得ません。
示談交渉における弁護士の役割
示談交渉を考えるのであれば、弁護士にサポートをお願いするのがおすすめです。
実際の示談交渉で弁護士が担う主な役割としては次のようなものがあります。
被害者との連絡窓口になる
捜査機関が加害者側に、被害者の連絡先を直接教えてくれることはありません。
そのため、被害者の連絡先を知るためには必ず弁護士を介する必要があります。
交渉時の仲介役になる
弁護士は加害者の代理人として、加害者の代わりに被害者サイドと示談交渉を行います。
加害者に対して激しい怒りを覚えている被害者は少なくありません。
そのため、弁護士という第三者を挟まないと、そもそも話し合いにすらならない可能性もあります。
示談交渉をスムーズに進めるためにも、仲介役となる弁護士の存在は不可欠といえるでしょう。
示談交渉~提出後に至るまでサポートしてくれる
弁護士は示談交渉はもちろん、示談書の提出やその後の手続きにおけるサポートも行います。
示談書を提出した後は、起訴前なら不起訴、起訴後は執行猶予の獲得や減刑に向けて働きかけます。
刑事事件の示談金の相場は?
刑事事件の示談金の金額は、犯罪の内容や被害の大きさ、被害者の処罰感情などによって大きく異なります。
傷害罪の慰謝料相場
万引、窃盗罪の慰謝料相場
恐喝罪の慰謝料相場
実際の事件によって相場となる金額も変わってきますので、詳細は弁護士にご相談ください。
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被害者との示談で加害者が注意すべきポイント
スムーズに示談交渉を進めるためには、加害者側の振る舞いがとても重要です。
ここでは、示談交渉において加害者が注意するべきポイントを紹介します。
直接示談交渉を持ちかけない
被害者の中には、加害者に対して恐怖心や不信感を抱いている人も珍しくありません。
たとえ被害者の連絡先がわかっている場合であっても、被害者やその家族・友人などが、被害者と直接コンタクトを取ることは避けるべきです。
加害者側が直接示談交渉を持ちかけようとすると、かえって被害者側の態度が硬化してしまうおそれもあります。
真摯に反省する
示談交渉は、あくまでも被害者に許してもらうための話し合いです。事件そのものをお金で解決するためのものではありません。加害者が「お金で何とかすればいい」という態度でいると、被害者の怒りが増して示談交渉どころではなくなってしまうおそれもあります。
被害者に許してもらうためにも、まずは真摯に反省し、誠心誠意謝罪を行うことが大切です。
示談に関するトラブルと対処法
実際に、示談交渉をしようとしても話し合いがうまくいくケースばかりとは限りません。
ここでは示談に関するトラブルとその対処法を紹介します。
相手が示談に応じてくれない場合
被害者が示談に応じてくれない場合や被害者の連絡先がわからない場合、示談の成立を目指すのは難しくなります。
こうしたケースでは、供託や贖罪寄付といった行動を取ることで、示談が成立した場合と同じような効果を期待できます。
供託
被害者が示談金を受け取ってくれない場合、被害者の住所地を管轄する法務局に示談金を供託することができます。供託が行われると、被害者が受け取ってくれない場合でも法律上示談金を支払ったのと同じ効果が発生します。
贖罪寄付
薬物事件のように被害者が存在しない事件や被害者の住所がわからない事件などでは、贖罪寄付をする方法もあります。
贖罪寄付は、加害者となった人が謝罪と反省の気持ちを込めて公益活動をしている団体に寄付を行うものです。
贖罪寄付を行ったときに発行される証明書は、裁判所や検察庁に資料として提出可能です。
被害者が示談金を吊り上げてきた場合はどうすればいいのか
中には、加害者の弱みにつけ込み、示談金を吊り上げようとする、あるいは恐喝まがいの言動をする被害者やその家族・知人もいます。
被害者サイドとのトラブルを避けるためにも、まずは直接被害者と示談交渉をすることは避けましょう。
被害者サイドから示談を求めてきた場合であっても、その場で対応せず、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。
刑事事件の加害者になったら、まずは示談を目指そう
刑事事件の加害者になってしまった場合、逮捕・起訴されてしまうと社会的に大きな不利益を被ることになります。
犯した罪を償い、速やかに社会復帰を果たすためにも、被害者と示談を成立させることは大切です。
実際に示談交渉を進める上では、被害者との仲介役となる弁護士の存在がカギになります。
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